此処(法廷)では誰も本当のことは言わない。ここでは誰が彼を裁くのですか?
ハリウッドの裁判映画をどれ程観てきたことか。にもかかわらず、今まで全く知らなかった法廷審議の映画になっている。
もちろん本題は他にある。人間の語る真実の危うさと実際の真実との挟間で揺れ動く人間のドラマが本題である。
なぜ彼は殺人を犯したのか?
この疑問の答えは映画の中では用意されていない。
答えは観た人が自分の心の中に問うしかない仕掛けだ。
究極を言えば、どの答えも正解だ。
自分の欲望の為だけで殺人を犯したのか、人助けの為に人殺しをしたのか、殺してはいないが誰かを助けることが自分をも助けるという事の為にぬれぎぬを負ったのか。
謎解きの心理サスペンスの趣きで物語は展開していく。
役所広司の深度の深い演技は、謎を謎のまま深めてしまうのに十分である。
MY 評価 ☆☆☆★★★ 2017 東宝 124min 原案/監督/脚本/編集 是枝裕和 撮影/瀧本幹也、音楽/ルドヴィコ・エイナウディ、美術/種田陽平 キャスト 福山雅治、役所広司、広瀬すず、吉田鋼太郎、斉藤由貴、満島真之