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映画「ノマドランド」思わず人生を振り返る?


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じつに様々なことに思いめぐらしてしまった。

人は何のために生きるのだろうか……などという究極の問さえ浮かんでくる始末。

あげくに、今までの自分の人生はこれで本当に良かったのだろうか……

なんて、ふっと思っている自分に気がつき、慌ててしまう。

ノマドとは英語で遊牧民とか放浪者という意味だという。

新しいワーキングスタイルにノマドワーカーというものがあるらしい。

世界は広いし、自分をとりまく制約は自分で取捨選択する自由があるはずだ、という生き方には妙に説得力がある。

時代はやはり常に巡っているのだろうか。

いつの時代もどの土地でも放浪の民はいたはずだが、この現代でさえ形を変えて在り続けるのだろう。

映画はドキュメンタリーを見ているような気になるほどすべてが自然でリアルだ。まるでドラマの登場人物たちの生活を覗き見ているような錯覚にとらわれる。

三度目のアカデミー主演女優賞受賞の可能性があるフランシス・マクドーマンドの抑えた演技は究極のリアルを体現し、観る者を否が応でも引きずり込んでいく。(なんと!三度目を受賞してしまった!)

ノマドが象徴する自由とか解放は、本来の人間らしさの必須条件ではあるものの、それは同時に強烈な孤独の覚悟が試されると映画は示す。

全編を彩るアメリカの広大な荒野の描写は、ノマドの人びとや生活を見守るクロエ・ジャオ監督のやさしいまなざしが詩情溢れる映像となり、美しく輝いていた。

2021/4/13

MY評価:☆☆☆☆

2021年2月19日アメリカ公開/3月26日日本公開 108min 制作アメリカ 

原作 ジェシカ・ブルーダー「ノマド 漂流する高齢労働者たち」
制作 フランシス・マクドーマンド 他
監督/脚本/編集 クロエ・ジャオ
撮影 ジョシュア・ジャームズ・リチャーズ

キャスト
フランシス・マクドーマンド
デヴィッド・ストラザーン  リンダ・メイ  シャーリーン・スワンキー

2021年 第93回アカデミー賞 作品・監督・主演女優賞受賞、編集、脚色、撮影ノミネート  他多数受賞



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映画「バハールの涙」衝撃の希望!

ヤバイ映画を観てしまった

遠い空の向こうで、今も日々行われている戦争がある。

今日も今もこの時も、目の前で親を殺され、女たちは強姦凌辱される。

男たちが飽きるまで数週間ごとにたらい回し。

飽きて殺される迄それは永遠に続いていく地獄だ。

子供たちはさらわれ、女の子は性奴隷として10歳ぐらいが一番好まれ、

男の子は殺人兵器として作り上げられる。

バハールという女隊長の率いる女たちだけの武装部隊があった。

彼女たちは歌う。

女の声が聴こえると敵は震えあがるという。

女に殺されたら天国へはいけないという。

女は恐いもの知らずだからと……。

女たちのくぐり抜けてきたあまりにも悲惨な体験が

バハールたちのような女戦士を生み出していく。

絶望の果てにも希望があると信じて、

バハールの涙と共にいつしか立ち上がる。

一人でも多くの人に観てほしいと願う映画だった。

MY評価:☆☆☆☆

2018年/2019公開 111min

仏、ベルギー、ジョージア、スイス合作

監督・脚本/エヴァ・ユッソン

音楽/モーガン・キビー

キャスト/ゴルシフテ・ファラハニ、エマニエル・ベルコ

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映画「ザ・コンサルタント」近年出色の傑作!

近年これほど見ごたえのある映画も珍しい

実に奥行きのあるエンタテイメントとして仕上がっている。

何といっても脚本が秀逸だ。全く無駄の無いストーリーテリング。更に、人物の全ての行動の背景にただならぬリアリティーがあり、そこがこの作品の最大の魅力となり骨太な映画となっている。

2時間を超える作品だが、まったく緩みを感じさせない。過去と現在が交錯していく度に物語はエネルギッシュに展開していく。堅実な演出と編集の職人技だ。

幼年期からのトラウマに振り回される兄弟の物語でもあるが、自閉症というマイノリティへの教育と生き方も、もう一つの重要なテーマとしてある。映画は、人と違うという事だけでまわりの人々にとっては脅威として映り、攻撃される運命にあるということを明確に語る。主人公演じるベン・アフレックの映画はかなり観てきたが、実は初めて彼が凄いと思った。勿論、「グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち」も「アルゴ」も最近の「ゴーン・ガール」の演技も感心はしていたが、凄いとは思わなかった。

全ての傑作がそうであるように、先ずファーストタッチであるプロローグが素晴らしい。

彼の会計士としての仕事の描写から複雑な人間性を的確に描き出す。一見寡黙で冷徹に見えるが実は人としての温かみがあったり、しかしそれは彼の或る目的のための方便なのかもしれないとか、そしてどこか誠実そうなのに神秘的な印象でもあり、何故か有り得ない射撃の腕もある。更に極め付きが、彼が仕事を終え自宅のガレージに返って来る車庫入れの異常ともいえるタイミングの描写だ。開いていくシャッターと車のスピードの絶妙なタイミングに彼の尋常でない性格を連想させる。この辺りでもう一気に持って行かれてしまう。あとはこの魅力的な世界にのめり込んでいくだけだ。

凄まじいアクションとスリリングなサスペンスはむしろ深い人間ドラマの彩りのようにさえみえてしまうというこの映画、まぎれもなく近年出色の傑作といえる。誰にでも勧めたくなる映画である。

それにしても、ラストで知る「或る事」には恐れ入った。決して多くは語らない。さりげなく、見落としてしまいそうな「その事」の意外性は、この物語の核心を突き、胸に刺さるのだ。

監督キャビン・オコナーの演出が冴えわたる。

MY評価:☆☆☆☆

2016/2017年  アメリカ 131min  原題/The Accountant

製作・監督/ギャビン・オコナー  脚本/ビル・ドゥビューク  編集/リチャード・ピアソン

キャスト:ベン・アフレック / アナ・ケンドリック / J・K・シモンズ /  ジョン・リスゴー
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映画「グッドモーニング,ベトナム」アメリカ映画のナイーブな時代!


過酷なのにナイーブな時代

ナイーブを人の形にしたら、ロビン・ウィリアムズになる

1978年に「ディア・ハンター」があり、1979年は「地獄の黙示録」。1980年代に入ると「プラトーン」「ハンバーガー・ヒル」「フルメタル・ジャケット」「7月4日に生まれて」そして今作となる。そして、まだまだ沢山の作品がつくり続けられた。

ナイーブな役者はいくらもいるが、今にも崩れそうな脆さを内包する目をした役者はそうはいない。

ロビンはこの時期すでにアルコール依存症に苦しんでいたというが、そんな時期だということも関係してるのか、この映画の彼はとびきりナイーブな面持ちだ。

ベトナム戦争が終わったのが1975年で、この作品が製作されたのが1987年。10年以上を経てなお昨日のことのように作られたこの作品は、つまりこの時期まだ全くベトナム戦争が終わっていないことの証明でもある。10年やそこらでは重大な事が終わった場合はほんのひと時でしかない

アメリカはベトナム戦争の後遺症で苦しんでいた真最中で、ベトナム戦争を題材にした映画は多い。アメリカもまた、とてもナイーブな時代であったのだ。

 

不幸にも時代とリンクしてしまったロビン・ウィリアムズ。

自身の孤独と傷ついたアメリカの不幸とが重なり合い結実したかのようなこの映画は、サッチモの「素晴らしきこの世界」の永遠の歌声にのせて見事に普遍性を獲得している。

心を動かされずにはいられないのである。

1987/1988年公開   アメリカ   121min
原題/Good Morning, Vietnam
スタッフ 監督/バリー・レビンソン
     音楽/アレックス・ノース、撮影/エマニュエル・ルベツキ
キャスト ロビン・ウィリアムズ、フォレスト」・ウィテカー

第60回アカデミー主演男優賞ノミネート
MY評価:☆☆☆☆
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映画「ジャージー・ボーイズ」不良がつくった名曲たち

 

過酷な人生から生まれた名曲の数々

手練れの職人クリント・イーストウッドが描く

ニュージャージー育ちの不良たちの過酷な人生模様と

心に染み入る名曲の数々で描いた傑作。

それにしてもジョン・ロイドの歌は

本人より上手くないか?

 

MY評価 : ☆☆☆☆
2014年公開   アメリカ   134min   原題 Jersey Boys
監督/クリント・イーストウッド、撮影/トム・スターン
キャスト/ジョン・ロイド・ヤング、クリストファー・ウォーケン

 

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映画「ダンケルク」これが映画か!何度もそう思った!

ここまで来たか!映画表現!

映画とは、かくも恐ろしい芸術なのか。

クリストファー・ノーラン監督が存在するこの世界では、虚構と現実の区別がつかない程の映画表現を獲得してしまったのだろうか。

映画は虚構の世界だが、或る意味ではリアルさを追求してきた歴史でもある。どこまで本物とか、現実のように見せるかを競ってきた。しかし、戦争の実体験のない世代の映画表現の世界では、もはや虚構が現実を追い越してしまったかのような錯覚すら感じてしまう。

戦争を俯瞰でとらえた巨大なスクリーンの世界の中に、さまざまな世界と物語がとらえられている。その瞬間に切り取られた時間に存在する人間には、それぞれひとりひとりに物語がある。母国へ避難を待つ40万人の兵士たち。桟橋に集まる様々な船。沈みかけてる大型船。燃える海。必死に泳ぐ兵士たち。空では爆撃機と戦闘機のバトル。同時に存在するそれぞれの戦いを生き抜こうとする兵士たちのサバイバルを、巧みな脚本で時間と場所を重層的に交差させ、生と死の境を明確に切り取っていく。


戦場で人が死ぬということの意味、理由、原因を観客に明確にしていく。彼は何故死に、もう一人の彼はなぜ死ななかったのかを見せていくのである。そこに居たから死んだ。そこを動くことが出来なったから死ぬという不運。必死に先を読んで生き抜こうとしたから生き延びた者と、同じように必死に生き抜こうとしたのに死んでいく者。その差に意味などはない。人間らしく生き抜こうとする者。人間性を放棄することで生き抜こうとする者。どちらが死んで、どちらが生きるかは運不運。生きるか死ぬかの境目にどのような意味や理由があろうとも、総ては無である、と映画は語っているかのようだ。戦争とはそうしたものであるということを描くこの映画は、同時にそれでも人間は素晴らしいと言い切る。戦争の愚かしさと人間性の肯定を同時に描くということは、すくなくともダンケルクという舞台を選んだ以上は、ハッピーエンドとなる側面の運命を合わせ持つ。そこが、生と死の不条理をテーマを持つこの映画の訴求力を損なうというアキレス鍵でもある。

もっとも超大作としての絶対的な使命はヒットして資金を回収することを思えば、優れた娯楽映画でなければならず、その意味でも見事なバランスだ。戦争映画の傑作誕生である。

MY評価:☆☆☆☆

2017公開   アメリカ   106min   原題/Dunkirk

製作・監督・脚本/クリストファー・ノーラン   

撮影/ ホイテ・ヴァン・ホイテマ  音楽/ハンス・ジマー

キャスト/フィオン・ホワイトヘッド、ハリー・スタイルズ、キリアン・マーフィー、
マーク・ライランス、トム・ハーディ、ケネス・ブラナー
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映画「レヴェナント:蘇えりし者」言葉を失うリアルな体験!

アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督の最高傑作


今年のアカデミー作品賞受賞の「スポットライト」とどっちが面白かったかと聞かれれば、ハッキリ言って「レヴェナント」の方が格段に面白かったし、イニャリトゥ監督作品の中でも出色のできだったように思う。

静謐な場面も激しいアクションシーンも全篇エネルギーに満ち溢れているがけっして騒がしくなく、濃厚だが詩的でクリヤーな時間が流れていく。

極めて特徴的なのが、エマニュエル・ルベツキの殆ど自然光だけ(らしい)による撮影と、坂本龍一の重層的な音楽の織りなす映像の凄みである。

観る側は撮影が自然光だけかどうかなんてわかるはずもないが、観客に意図的に意識させる映像は、俯瞰のテレスコープのクレーンから降り立ち激しい戦闘シーンを滑らかな動きで追うステディカムや、そして息遣いも荒いクローズアップの手持ちカメラは、出演者の息がレンズにかかり白く曇ることさえ利用していく計算されたふてぶてしさは、あきれるほどに革新的だ。

我々はカメラを意識させられるが、同時に体験するかのごとく振る舞うカメラの視点に我を忘れ、この映像世界を実体験するのである。ルベツキのマジックだ。

結果的にアカデミー撮影賞3年連続受賞という未だかつてない快挙となった。

単純なストーリーのようだが、テーマは深く複雑だ

強欲な市場原理が先住民たちの精霊信仰の英知を消し去っていく時代を背景に、最愛の子を殺された父の復讐劇が繰り広げられるが、ふりかざすテーマはない。

物語を凄まじい映像でひたすらに紡いでいく中から立ち上ってくるのは、現代に生きる我々の過ちと脆弱さであるかのようだ。

映像の生々しさは観ている私たちに浸食してくるほどリアルに迫り、今そこで起きている映画の全ての事柄が、現代に生きる私たちに直結しているが如く強烈な力に溢れている。

すべての演者がそこに生きて存在していた。

映画が目指すリアリティの、奇跡のような到達地点だ。

レオナルド・ディカプリオの演技はこれ以上ないものであり、アカデミー賞受賞は当然の帰結だった。授賞式のディカプリオの意外なほどの落ち着きぶりが今ならよくわかる。自信もあったのかもしれないが、全身全霊でやりきったことの答えやご褒美は、もはやさしたる意味を持たなくなっていたのかもしれない、と想像してしまうほどに彼の演技は演技を超越していたように見えた。

MY評価:☆☆☆☆

2015/2016公開   アメリカ   156min   

原題/The Revenant(帰ってきた人)

製作・監督・脚本/アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ  

撮影/エマニュエル・ルベツキ   音楽/坂本龍一、アルヴァ・ノト

キャスト/レオナルド・ディカプリオ、トム・ハーディ

第88回アカデミー賞受賞  監督賞、主演男優賞、撮影賞
 ノミネート 作品賞、衣装デザイン賞、編集賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞、        音響編集賞、視覚効果賞、美術賞 その他多数
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映画「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分」 凝縮人生オン・ザ・ウェイ

気がつくと自分の人生を振り返っている映画

人はただ生きていくだけなのに

どこかで決断し

行く道を選択しなければならない

選んだ道で その人の人間性がつくられていく

誠実な人 不実な人

悪い人 いい人

大変だけど 幸せにつながる道を行く人

楽だけど 不幸につながる道を行く人

大変で 不幸になってしまう人

楽なのに 幸せになれる人

人生オン・ザ・ウェイ

自分の来た道を振り返る時、選んできた分かれ道を見つめてしまう。

正しかったのだろうか?

誰でも、少なからずいくばくかの後悔と無念さを胸に秘めて生きている。

そして誰だって、これから自分の行く先に何があるのかなんて知るよしもなく生きていく。

みんな、ただ今を何とか生きていくだけだ。

僕のオン・ザ・ウェイはどんな所にに繋がっているんだろうか?

思わずそんなことを考えてしまう映画だ。

MY評価:☆☆☆☆
2013年/2015年公開   イギリス製作   85min   原題/Locke
監督、脚本/スティーヴン・ナイト、編集/ジャスティン・ライト
音楽/ディコン・ハインクリフェ、撮影/ハリス・ザンバーラウコス
キャスト/トム・ハーディ
第16回英国インディペンデント映画賞脚本賞(スティーヴン・ナイト)
 第40回ロサンゼルス映画批評家協会賞主演男優賞(トム・ハーディ)
 第27回ヨーロッパ映画賞編集賞(ジャスティン・ライト)
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映画「フェイス・オブ・ラブ」 残酷な幸せでもいい!

もし、最愛の人を亡くし、ある時その人に瓜二つの人に出会ったなら、あなたならどうする?

思いがけない幸運を神に感謝するのだろうか?


その時ばかりは信じた事の無い神を信じてしまうかもしれない。

けれどその幸運とはうらはらに、残酷な現実を思い出させることとなる。

もしかしたら、現実のその人を愛することは、死んでしまったあの人を愛することなのか、と…

愛する人の死を乗り越えることは、自分でも思いがけない程困難なことだ

自分でもどの位のダメージを受けているのか、わからないからだ。

涙はいつ流れるのか?

忘れたころにやってきたりする。

哀しみは、5年後、10年後、20年後に不意にやってくるのかもしれないのだ。

哀しみは封印することが出来るもの

封印することで、今を乗り越えていくことが出来る。

いや、封印することでしか現実を乗り越えることができないのだろう。

自分が壊れてしまわないように、無意識に封印してしまうのだ。

封印された哀しみは、決して癒されることはない。

何も解決していない哀しみは、行き場の無いまま、ある日突然リアルにやって来たりする。

哀しみは忘れたころにやって来るのだ。

でも、映画はラストで我々を救ってくれる。

はっと息を飲み、呆然とし、そして深く納得し、涙は知らずに流れる。

映画は、しばし現実を忘れさせ、流れる涙は、現実の哀しみを癒すのか。

ところで、この手の繊細な主題の作品は理解されない傾向にあるようだ。一般の批評を見ると殆どが的外れで悲惨な評価となっている。アメリカ本国でも全く評価されなかったようだ。確かに作品の表現における完成度は高いとは言えないが、むしろ問題は共感される仕掛けにある。

共感のハードル、意外に高かった。

つまりは、瓜二つの設定なんてあり得ない、と思われてしまうこと。

映画づくりは難しい!

スタッフ、キャストに同情するし、特に、アネット・ベニングの的確な表現と女優として老いをさらけ出す演技は見ごたえがあっただけに、この冷遇は残念なことだった。

MY評価:☆☆☆☆ (思い入れがあるので★ひとつおまけ)
2013/2015公開   アメリカ   93min   原題/The Face of Love(愛の肖像)
スタッフ 監督・脚本/アリー・ポジン
キャスト アネット・ベニング、エド・ハリス、ロビン・ウィリアムズ
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映画「リトル・ミス・サンシャイン」淀川長治さんに観てほしかった!

なんと豊穣な映画だろうか!

人間の良心を信じた傑作

久しぶりに、また「リトル・ミス・サンシャイン」を観た。

そして、初めて観るように、また感動してしまった。

観終わってから、淀川さんを思い出した。なぜなら、アラン・アーキンがこの作品でアカデミー助演男優賞を受賞したからだ。1968年の「愛すれど心さびしく」で主演演男優賞にノミネートされてから38年ぶりにノミネートされ今回は助演で受賞した。

当時15才だった僕は映画評論家の淀川長治さんの「映画友の会」に参加していたが、その時「愛すれど心さびしく」のアラン・アーキンを絶賛していた事をよく覚えている。もし、淀川さんが生きていてこの作品を観たら、どれほど喜んだろうか。淀川さんは温厚なテレビの印象と違って、実際は辛辣な人という印象が強かったが、「アメリカの良心」を深く愛していて、そういう作品は点が良かった。「真昼の決闘」「スミス氏都へ行く」「アパートの鍵貸します」「夜の大捜査線」そして「ライムライト」等々…。

ラストは誰もが、心の震えを抑えることができないだろう。

淀川さんはよく言っていた。感動の涙はその人の顔と心を美しくするのだと。

だから、みなさんに是非お勧めします。

いい顔になれる映画だよって。

 

MY評価:☆☆☆☆
2006年公開   アメリカ   100min   原題/Little Miss Sunshine
スタッフ 監督/ジョナサン・デイトン、 ヴァレリー・ファリス
     脚本/マイケル・アーント
キャスト グレッグ・キニア、スティーヴ・カレル、トニ・コレット、ポール・ダノ
     アビゲイル・ブレスリン、アラン・アーキン
アカデミー賞 第79回(2006年) 最優秀助演男優賞(アラン・アーキン)、 脚本賞受賞
LA批評家協会賞 第32回(2006年) ニュー・ジェネレーション賞 
その他多数映画祭ノミネート&受賞
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映画「サンバ」ただ生きることさえむずかしい

生きることがとてもむずかしい

ただ生きるだけなのに

でも人は、ただ単に生きることは出来ない。

人は人らしく生きることが必要だ。

目的とか、生き甲斐とか、人生を楽しむ何かが必要だ。

ところが、いろんなものが邪魔をする。

社会が遮る。

時には自分でさえもが邪魔をする。

フランスの移民や難民の話しだ。

テーマは重く難題だが「最強のふたり」のタッグ。

やっぱり軽やかなテイストが良く似合う。

MY評価:☆☆☆☆
2014/2015年公開   フランス   119min   原題/Samba
監督・脚本/エリック・トレダノ 、オリビエ・ナカシュ
キャスト/オマール・シー 、シャルロット・ゲンズブール 、タハール・ラヒム
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映画「味園ユニバース」明日の何かを掴みたい!

しょうもない日々

しょうもないことが、しょうもなくなる日まで…

何をしたらいいのだろうか…

どうしたら、しょうもなくなるのだろう。

あの頃は、いったい何をしていたのだろう。

誰にも、そんな頃があるものだし、人に言えない事もあるものだ。

秘密のひとつやふたつ、あるものだ。

あの頃のようには戻れないものだし、戻りたくもない。

秘密なんて、しょうもないものだ。

それより明日の何かを掴みたい、と思わせてくれる映画。

MY評価:☆☆☆★★
2015年公開   103min
監督/山下敦弘、脚本/菅野友恵、音楽/池永正二
キャスト/渋谷すばる、二階堂ふみ、鈴木紗理奈
第19回ファンタジア国際映画祭(2015年)/最優秀主演男優賞(渋谷すばる)
最優秀脚本賞(菅野友恵)
第10回KINOTAYO現代日本映画祭(2015年)
ソレイユ・ドール 観客賞(金の太陽賞 グランプリ)
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映画「アイ・アム・デビッド」信じる善意が未来を開く!


児童文学のテイストに思わずホロリ。

世界は、人間は、悪だけじゃないよ。

善意を信じることが未来を切り開く。

世界的ベストセラーの映画化。

非常に映画的魅力に溢れた作品で、監督の映像感覚が秀逸だ。

随所にちりばめられる映像美と少年の心象風景を、彼の何気ない仕草に映し出す演出がにくい。

とは言え、この映画が成功した一番の要因は、子役のベン・ティバーを見出したことではないだろうか?

それほどに彼は素晴らしかった。瞳の中に、哀しみ、絶望、恐怖、そして大人びた達観と幼く無垢で純粋な魂を映し出す。

あの「リトル・ダンサー」のジェイミー・ベルを発掘した子役専門のキャスティング・ディレクターが発見したらしい。

子役専門のキャスティング・ディレクターなんて存在するんだね。。

MY評価 : ☆☆☆☆
2003/2005公開   アメリカ   93min   原題/ I Am David

 監督・脚本/ポール・フェイグ、原作/アン・ホルム

 撮影/ロマン・オーシン 、音楽/スチュワート・コープランド

 キャスト/ベン・ティバー、ジム・カヴィーゼル、ジョーン・プロウライト

 モナコ映画祭<最優秀女優賞、最優秀新人賞>
 サンディエゴ映画祭<最優秀作品賞、最も有望な俳優賞>
 カンザスシティ映画祭<最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀俳優賞、最優秀女優賞>
 オースティン映画祭<観客賞>
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映画「アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜」平凡を非凡にするには…

 

平凡な人生を非凡な人生にする方法とは

非凡な人生、非凡な日々

憧れるよなあ

非凡という響き

でも、非凡て何だろう?

もし、愛おしい人生を生きることができたなら

それこそが非凡な人生なのだ

と、映画は言う

もし、毎日の平凡な日々を、本当に愛おしく過ごすことが出来れば

それが、非凡な日々となるのだろうか

平凡な時間も、非凡な時間の輝きを帯びていくのだろうか

もし、大切な人たちを、本当に大切にすることができれば

愛おしい人生となるのだろうか

映画は、もしも特殊な能力があったとしても

例えば、金を得るために使うとかではなく

愛のある人生を構築することにのみ使うことが

人を幸せにするコツなのだ

と言うのである

なんと平凡な結論なのだろうか

さらには、愛ある人生のために必要なこととは

平凡な日々を大切に生きることだ

とも言うのだった

映画はその事を云うために、極めて奇抜な仕掛けを用意し、観客を不思議な世界へと誘う

観終わった後、ぼくはとても心地よく納得し、幸せな余韻に浸るのだった。

MY評価 : ☆☆☆☆
2014年日本公開    124min  英/米合作   
原題  ABOUT TIME(良い頃合い)
監督・脚本/リチャード・カーティス、音楽/ニック・レアード=クロウズ 、
撮影/ジョン・グレセリアン
キャスト/ドナルド・グリーン、レイチェル・マクアダムス、ビル・ナイ
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映画「麦の穂をゆらす風」今は何処に吹く?

アイルランドの独立戦争は、麦の穂をゆらす風なのか?

戦争は同志達の内戦も含み、熾烈を極め、密告、拷問、処刑が繰り返される。

昨日の友が今日の敵となり、互いに殺し合い、それがたとえ兄弟と言えども…

映画では、人の死があまりにも身近だ。いともたやすく殺し、殺される。

人が人を迫害し、追い詰め、殺す。圧倒的有利な立場に立つ時、人はまるで暴力に引きずられるかのようにヒステリックに暴力を行使する。

映画の視線は冷徹だが、同時にどこまでもやさしく人間を見つめる。

内紛に決裂するシーンは本来の議会民主主義の正しい姿のようだ。激烈だが見事なディスカッションを繰り広げる。どれほど激高してもひとりづつ挙手をしてから発言し、まわりは最後まで話し終えるまで邪魔はしない。正しい教育が沁み込むほどの伝統の凄さなのか。

議会制民主主義の伝統は、100年近くも前のアイルランドにすでに在ったのだ!

いったい、今の日本の何処にあるというだろう?

あの時吹いた穂を揺らす風は、すでに何処かに行ってしまったのか

戦争は姿かたちを変えてその後数十年も内紛を繰り返す。人は民族の主義主張のために、無残に死んでいく。人の想いとか、命とかの重みがわからなくなる。

ケン・ローチ監督が描いたことは、アイルランド内戦のある一場面のことだが、普遍的な映像は、いつか麦の穂をゆらす穏やかで平和な風を吹かせることができるのだろうか?

MY評価:☆☆☆★★★
2006年公開   英/アイルランド/独/伊/スペイン合作   126min
原題/The Wind That Shakes the Barley
監督/ケン・ローチ 、脚本/ポール・ラヴァーティ
キャスト/キリアン・マーフィー、ポードリック・ディレーニー、リアム・カニンガム、
オーラ・フィッツジェラルド
第59回カンヌ国際映画祭パルム・ドール賞受賞
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映画「イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所」幽体離脱の秀作!

選んだ道がその人をつくっていく

人が生きていくということは、様々な場面でその時々に道を選択するということだ。

どっちを、或は、何を選択するのか

その決断から選んだ道がその人の人生を作っていく。

人は誰もが自分の人生を振り返った時、あの時あの道を選んでいたら、と思うことがひとつやふたつではないだろう。

深い悔恨と共に思い出すのか、ある満足感と共に振り返ることができるのか?

どちらにしても、それは、その人の人生そのものであることに変りはない。

この映画は、人が人生の分岐点を必死の思いで選択することを描いた映画である。

クロエ・グレース・モレッツが眩しい。

MY評価 : ☆☆☆★★★
2014年公開   アメリカ   107min   原題/If I Stay
監督/R・J・カトラー 、音楽/エイトール・ペレイラ、 撮影/ジョン・デ・ボーマン
キャスト/ クロエ・グレース・モレッツ、ジェイミー・ブラックリー、 
ミレイユ・イーノス、ステイシー・キーチ
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映画「ストックホルムでワルツを」時代の空気が甦る、ワルツというジャズ!

躍動感に満ちている!

世界的スウェーデンのジャズ・シンガー、モニカ・ゼタールンドの伝記映画

伝記映画ってどこか説教臭かったりで、退屈な場面もあったりするのだが、

それがないのがとてもいい。

生き生きと、時代の空気が甦る。

 

演じるエッダ・マグナソンの歌姫っぷりが、魅力に溢れてる。

歌が上手く、美人で、キュートで、色っぽいから、かなり無敵である!

 

演出が良くて、脚本も良くて、ヒロインがサイコーの映画なので、本国スウェーデンで異常な大ヒットも理解できるというもの。

 

ところで、去年の暮れに映画が公開されたのを機に、エッダ・マグナソンが来日していたらしい。おまけに、ブルーノート東京に出演していた!なんという不覚!!!

 

 

MY評価 : ☆☆☆★★★
2014年公開  スウェーデン  111min  原題 MONICA Z
監督/ペール・フライ、撮影 /エリック・クレス、 音楽 /ペーター・ノーダール
キャスト/エッダ・マグナソン

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映画「百円の恋」百円女が本気になる時

 
いいとこ突いてる映画だよな

不思議と心を掴まれる

ありえない間とかけっこうあって、なかなか独自の雰囲気だ。

無気力、無目的なまま32才の自称百円の女が、ある時から何となく変わっていく。

その過程が妙にリアルだ。

安藤サクラの存在感がそのまま百円女のリアリティーに見えてくる。

百円女だって、本気になる時がある。

それがボクシングってとこが面白いんだけど、それは実はキッカケだ。

百円女の中では、すでにいろんなものが変わっていっている。

映画の説明を全くしないという演出は、独自のリアリティを生み出すことに成功している。

ニッチだが、日本映画の進むべき一つの道だろうと思わせるだけのものがあった。

MY評価 : ☆☆☆★★★
2014年  113min  
監督/武正晴、脚本/足立紳 
音楽/海田庄吾、 主題歌/クリープハイプ「百八円の恋」、撮影/西村博光
キャスト/安藤サクラ、新井浩文
東京国際映画祭「日本映画スプラッシュ部門」作品賞をはじめ、国内映画賞10冠
第19回プチョン国際ファンタスティック映画祭「NETPAC賞(最優秀アジア映画賞)」受賞
第4回CUT ABOVE賞 for Outstanding Performance in Film 受賞
(主演の安藤さくら<日本映画に最も貢献した映画人>を讃える賞/ニューヨーク開催)
2016年日本アカデミー主演女優賞受賞/安藤サクラ
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映画「コールド・バレット 凍てついた七月」陰気な話がとんでもない展開に‥‥

いたって平凡な男が、ある日自宅に侵入した強盗を射殺してしまうところから話は始まる

それにしても、骨のある映画だ

物語は実に陰気な感じで始まり、これ大丈夫か?と思うが、いやいや心配無用。

話はとんでもない展開となっていく。

脇で「ライトスタッフ」で最高にカッコ良かったサム・シェパードと、一世を風靡した「マイアミバイス」のドン・ジョンソンが出てくる。

歳はとっても実にそれらしく役にはまって出てくるところは、嬉しくなってくる。

彼等の活躍?に呼応するように主人公の内面が変化していく様が見所だ。

ラストは、大人の映画ならではの味があって、好感がもてる。

MY評価 : ☆☆☆★★★
2014年公開  アメリカ/フランス  未公開  110min  原題 COLD IN JULY
監督/ジム・マイクル、撮影/ライアン・サマル
キャスト/マイケル・C・ホール 、サム・シェパード 、ドン・ジョンソン
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映画「0.5ミリ」安藤桃子という稀有で偉大な才能

 

観ていて終わってほしくないと思う数少ない映画

196分、3時間16分、破格に長い

観ていると長いとは思わない、というか面白くてしかたないから、長いんだろうけどずーと観ていたいと思わせる。

内容はとてもシリアスで、社会的な問題提起ともいえるいくつかのテーマを持っているが、タッチは軽やかで、エンターテイメントのコメディとしても秀逸である。

この映画のいいところを上げたらキリがないというほど、あらゆる様々な面で優れている。しかし、それもこれも、安藤桃子という監督の演出に支えられて光り輝いているのである。

何故なら、みずみずしく躍動感に満ちた映像だから

映画監督の資質にとって一番大切なものを持っている。

それは日本の監督史の中でも特筆されるべき資質なのだろう。

全編映画の魅力に溢れている。画面が生き生とみずみずしく、躍動感に満ちているからだ。

つまり、極めて映画的な映画になっているのである。

それは、かつての巨匠たちもなかなか持ちえなかった偉大な資質であり、才能である。

原作があり、脚本があり、テーマがあり、監督の特異な視点もあり、しかしもし、その全てが仮に優れてたとしても、良い映画になったとしても、命のかよった生き生きとした映像を獲得できるわけではないのである。

そこが映画の素晴らしいところであり、同時に難しいところと言えるのではないだろうか。

この安藤桃子というまだほとんど経験のない監督は、落ち着いてさえいる演出のもとに、いともたやすくそのハードルを飛び越えてしまっているかのようだ。

もはや、稀有な才能の誕生と言わざるを得ない。

あれ!これヤバくない、褒め過ぎ?

MY評価 : ☆☆☆☆
2014年公開  196min 
原作/監督/脚本 安藤桃子
キャスト/安藤さくら、津川雅彦、柄本明、坂田利夫、草笛光子
日本アカデミー賞、上海国際映画祭等各賞多数/作品、監督、脚本、主演女優、
助演男優助演女優賞 受賞
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映画「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」女を香りで見分ける男

 

 香水で女性を見分けるなんて……

めっちゃ、かっこいい‥‥

そして

美女とタンゴを踊る

フェラーリを運転する

どれも、盲人の捨て身の覚悟の上のこと。

名シーンはキラ星の如く

アル・パチーノ渾身の一作。

それにしても、セント・オブ・ウーマン 

なんて粋な題名。

MY評価 : ☆☆☆☆
1993年公開   アメリカ   157min   
原題 Scento of a wooman(女性/夢の香り)
監督/マーティン・ブレスト、脚本/ボー・ゴールドマン
キャスト/アル・パチーノ、クリス・オドネル
1993年アカデミー主演男優賞受賞(作品・監督・脚色ノミネイト)
1993年ゴールデングローブ作品、主演男優、脚本賞受賞(助演男優ノミネイト)
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映画「ヒューリー」君はブラピの戦車に乗ることができるか?

 

ブラピの戦車に乗るか乗らないか?

究極の選択の疑似体験!

正義のためなどではなく、課せられた任務(仕事)を全うする上での矜持!

そここそが、どう生き、どう死ぬかの〈分水嶺〉

若く純粋で、柔らかい心が、ズタズタに傷ついていくところを、観客は見せつけられていく。

死ぬことも、生きることも、

どちらも、地獄の分水嶺。

現実社会の選択は、生死の選択など無い。

だから僕等は、映画の中で、安心して「究極の選択」を疑似体験することができるのだ。。

MY評価 : ☆☆☆★★★
 
 2014年公開   米/英合作   134min   原題 Fury(激怒)
製作・監督・脚本/デヴィッド・エアー
キャスト/ブラッド・ピット(&製作総指揮)、シャイア・ラブーフ、ローガン・ラーマン
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映画「今度は愛妻家」してはいけない後悔をした時

 

二度と戻らないことってある

人は誰でも後悔する時があるけど、

してはいけない後悔をすることだってある。

してはいけない後悔とは、

つまりは、心が壊れてしまうということ。

そこにピンと来ないひとは、

この映画の設定すら嘘っぽく映るんだろうな。

こんな心の有り様は、

同じ様な経験をした者でなければ分からないのだろうか?

意外に観る人を選ぶ映画なのかも…

ある意味

哀しみを封印したことのある人必見の映画なのです。

MY評価 : ☆☆☆☆
2010年公開   東映   131min
    
 監督/行定勲、原題 今度は愛妻家(戯曲)原作/中谷まゆみ
 脚本/伊藤ちひろ、主題歌/井上陽水『赤い目のクラウン』
  
 キャスト/豊川悦司、薬師丸ひろ子、石橋蓮司
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映画「ワイルド・バンチ」男の挽歌が胸を打つ!

歴史的バイオレンス映像美&男の究極の友情

映画史に残る傑作

こんな西部劇今まで無かった。

今後もない唯一無二の西部劇。

男が寡黙に決意する。

そんな男たちが一つに集まり、

自己の矜持に全てをなげうつ。

男がもっとも輝く時。

荘厳なまでに凄まじいラストのシーンは、

どこか静けさが宿り、やるせないほど美しい。

男たちのいさぎよさが泣けてくるほど愛おしく、

余韻がいつまでも心に残る映画だ。

MY評価 : ☆☆☆☆
1969年製作   アメリカ   145min    原題  THE WILD BUNCH 
スタッフ  監督/サム・ペキンパー、音楽/ジェリー・フィールディング 
      撮影/ルシアン・バラード
キャスト  ウィリアム・ホールデン、ロバート・ライアン、ウォーレン・オーツ
      アーネスト・ボーグナイン