観ていて終わってほしくないと思う数少ない映画
196分、3時間16分、破格に長い
観ていると長いとは思わない、というか面白くてしかたないから、長いんだろうけどずーと観ていたいと思わせる。
内容はとてもシリアスで、社会的な問題提起ともいえるいくつかのテーマを持っているが、タッチは軽やかで、エンターテイメントのコメディとしても秀逸である。
この映画のいいところを上げたらキリがないというほど、あらゆる様々な面で優れている。しかし、それもこれも、安藤桃子という監督の演出に支えられて光り輝いているのである。
何故なら、みずみずしく躍動感に満ちた映像だから
映画監督の資質にとって一番大切なものを持っている。
それは日本の監督史の中でも特筆されるべき資質なのだろう。
全編映画の魅力に溢れている。画面が生き生とみずみずしく、躍動感に満ちているからだ。
つまり、極めて映画的な映画になっているのである。
それは、かつての巨匠たちもなかなか持ちえなかった偉大な資質であり、才能である。
原作があり、脚本があり、テーマがあり、監督の特異な視点もあり、しかしもし、その全てが仮に優れてたとしても、良い映画になったとしても、命のかよった生き生きとした映像を獲得できるわけではないのである。
そこが映画の素晴らしいところであり、同時に難しいところと言えるのではないだろうか。
この安藤桃子というまだほとんど経験のない監督は、落ち着いてさえいる演出のもとに、いともたやすくそのハードルを飛び越えてしまっているかのようだ。
もはや、稀有な才能の誕生と言わざるを得ない。
あれ!これヤバくない、褒め過ぎ?
MY評価 : ☆☆☆☆
2014年公開 196min
原作/監督/脚本 安藤桃子
キャスト/安藤さくら、津川雅彦、柄本明、坂田利夫、草笛光子
日本アカデミー賞、上海国際映画祭等各賞多数/作品、監督、脚本、主演女優、 助演男優助演女優賞 受賞