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映画「復讐のセクレタリー」恐怖の母性愛、深く静かに疾走する!


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母性愛が狂うとき

愛の怖さ、想いの深さの恐ろしさ、絶望的な喪失感は憎しみへと転化して復讐へと駆り立てる。

手間と時間をたっぷりかけて、深く静かに復讐は疾走していくのだ。

もう、誰にも止められない。

ここまで徹底的に復讐に燃え、着々と実行していくところは胸のすく思いすらするが、反面復讐される側の都合にも思わず同情してしまうほどだ。

それほど復讐する女の情念は、徹底的に過激で残酷だ。

テーマは子を失った母の心はどれほどの哀しみなのかを描ききることでもあるが、

もう一つは、ナタリー・バイという稀有な女優の魅力を余すことなく見せることだったように思う。

復讐する過程で見せる様々な女の側面が、ナタリー・バイ・オン・ステージ!の如く、実に魅力的に描かれている。

MY評価:☆☆☆★★★
2015年製作/2016.3.18WOWOW日本初公開    88min
フランス・ベルギー・ルクセンブルク合作
監督/クリストフ・アリ、 ニコラ・ボニラウリ
キャスト/ナタリー・バイ マリー、 マリック・ジディ

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「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」アカデミー会員大好き映画!

映画と演劇のスクランブル交差点にバードマンが飛び回る。

だって、トリ男は何処へでも行くことができるから

バードマンは厄介だ。いつも自分に問いかけてる。

自分の存在価値は?

存在理由は?

それは、やっぱり人から求められることだろう。

それも自分の「愛する人」なら完璧だ。

「愛する人」がいて、求めてくれて、

更に、自分も愛することが出来ればなお良い。

当たり前のようだが、

これが人生難しい。

もう、人間の究極の命題だ。

世の中、それがままならずに様々な犯罪が生まれてしまう。

究極の命題はコンプレックスの衣をまとうと、強烈なスパイスで濃厚だ。

映画と演劇のスクランブル交差点にバードマンが飛び回る。

ブロードウェイを飛び回り、アカデミー会員の間を飛び回り、世界中の業界巡りだ。

そして、私たちの頭の中を飛び回る。

そんな映画。

MY評価:☆☆☆★★★
2014/2015年公開   アメリカ   119min
原題/Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance)
スタッフ 製作・監督・脚本/アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、
     音楽/アントニオ・サンチェズ、撮影/エマニュエル・ルベツキ
キャスト マイケル・キートン、ザック・ガリフィアナキス、エドワード・ノートン、
     エマ・ストーン、エイミー・ライアン、ナオミ・ワッツ
第87回アカデミー作品、監督、脚本、撮影賞受賞、他多数受賞
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映画「フリア よみがえり少女」スペイン産謎解きサスペンス

ホラー風味のスペイン産サスペンス

思わせぶりの展開と観る者を惑わせる演出がポイント

思わせぶりに、人間関係をじっくり描くことで、謎解きの興味がそそられる。

スペインとサスペンスはとても相性がいい。

国民性なのか、もはや伝統の技。

スペインサスペンスに外れ無し。

いつの時代も、映画初出演の子役は凄いもの。

マヒカ・ペレス、末恐ろしい!

MY評価 : ☆☆☆★★
2012年公開   スペイン   96min   原題 Dictado
製作/監督/脚本    アントニオ・チャバリアス
キャスト        ファン・ディエゴ・ポト、バルバラ・レニー、マヒカ・ペレス
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映画「リベンジ・トラップ/美しすぎる罠」こんな女に出逢わなくて良かった!!

同情の余地すらない悪女映画

「ゴーン・ガール」の後に撮ったロザムント・パイク主演の悪女系映画だが…

普通どんな悪女や悪人でも、主役であれば観客は多少の感情移入をするものだが、この悪女に同情の余地すらわかないのだ。

極めて乾いた印象の映画なのである。

主人公の胸中は怨念がどす黒く渦巻いているのだろうが、その顔は薄く乾いた微笑みが張り付くだけだ。

どうやら潔癖症らしいことと、自分が正しいと思ったことに執拗に執着する性癖をいくつかの場面でさりげなく見せることで、彼女のヤバそうな行動を予感させるところが特に上手い。

直接的に自分を攻撃した者への感情の激しさは異常きわまりないから、よくぞここまで表面的にしろ普通に生きてこられたもんだと思ってしまう。表面的であってさえそれは無理だろうというぐらい有り得ない性格は、さすがにこんな女いるわけないだろと思わないでもないが、彼女の過激な内面の在り方が映画的にワクワクどきどきで、そんなことはどうでもよくなるところがこの映画の面白いところだ。

観終わっての正直な感想は「今までこんな女に出逢わずに生きてこられた自分の幸運に感謝!」であった。

運が良かっただけなのだ!とリアルに思わせる凄い映画なのでした。

怖いようー!

MY評価:☆☆☆★★

2015/2016WOWOW初公開   アメリカ   94min   

原題/RETURN TO SENDER

監督/フアド・ミカティ

キャスト/ロザムンド・パイク、シャイロー・フェルナンデス、ニック・ノルティ
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映画「マップ・トゥ・ザ・スターズ」監督クローネンバークの深い闇

 

監督デビッド・クローネンバーグ今度も深い闇を連れて来たね!

テーマはやたら重いが、見始めたら一気に持っていかれる。

アクションでもなく、サスペンスやスリラーでもないのに、

とてもスリリングな展開に息つくひまもなく、気が付いたら終わっていた。

年齢に関係なく、抱える闇の深さが人の心を浸食し、最後には壊してしまう。

何か抗う手立ては無かったのだろうか?と思うが、いともたやすく壊れていく。

まるで、儚くもろいガラスの人形のように、持ち方を誤まると、簡単に落として粉々に砕け散ってしまうのか。

ジュリアン・ムーアは何を演らせても達者な女優だと知ってはいたが、今回の演技にはあらためて彼女のポテンシャルの奥の深さを見た思いだ。

MY評価 : ☆☆☆☆
2014年公開  カナダ/米/独/仏合作  109min  原題 Maps to the Stars
監督/デビッド・クローネンバーグ   
脚本/ブルース・ワグナー  撮影/ピーター・サシツキー
キャスト/ジュリアン・ムーア、ミア・ワシコウスカ、ジョン・キューザック
第67回カンヌ国際映画祭主演女優賞受賞
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映画「游星からの物体 X 」夢にうなされたければこの映画!

数少ない夢にうなされる映画の決定版!

怖いもの見たさで見ると、後悔させるだけのチカラのある映画

SFホラーの傑作。

やたら怖くて、あまりのことに笑ってしまってる自分を発見することになるかもしれない、やばーい映画!

恐怖と笑いが紙一重だってことに、はじめて気づかされた映画だ。

今までにないTHE THINGの造形が、さらに恐怖を増幅させる。

次第にそれは、とどまることを知らず、我々は呆気にとられ、恐がったり、笑ったりするのだ。

この後、模倣バージョンの映画や漫画やいろいろ出たけど、オリジナルの独創性は説得力が凄すぎて、あれから30年以上経つがこの作品を超える物は出てこない。

MY評価 : ☆☆☆☆
1982年公開   アメリカ   109min   原題 The Thing
監督      ジョン・カーペンター
キャスト    カート・ラッセル
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映画「ぼくのエリ 200歳の少女」センスのきらめきが炸裂する!

 

センスの塊のような映画

音と映像のマッチング。カメラアングルやカット割り等々どれをとっても秀逸。

なかでもプールでの報復シーンは出色だ。

水中の「無音」、「真っ赤」に流れる血の色、有り得ない「動き」のアンサンブル。

抜きんでたセンスのきらめきが炸裂している。

ショッキングで、残酷で、そして、美しい。

全編を通して流れているトーンは、静謐な深い哀しみ。

死ぬことの許されないヴァンパイヤの絶望的な哀しみが胸を打つ。

ヴァンパイヤ物の中でもベストピクチャー

尚、ハリウッド版リメイクもあって、それも健闘はしていたが、遥かにこれには及ばない。

MY評価 : ☆☆☆☆
2010年公開   スウェーデン   115min   
原題 Let The Right One In(正しき者を招き入れよ)
監督/トーマス・アルフレッドソン、
音楽/ヨハン・セーデルクヴィスト、撮影/ホイテ・ヴァン・ホイテマ
キャスト    リーナ・レアンデション、カーレ・ヘーデブラント
オースティン映画批評家協会賞受賞 
英国アカデミー外国映画賞、ヨーロッパ映画賞作品賞、音楽賞 ノミネート
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映画「エスター」じわじわ繰り出す<悪の華>!

 

じわじわ繰り出す<悪の華>!

ワクワク、そわそわ、ひぇーっとなる! 

恐いですねー、恐いですねー、恐いですねー!

ためて、ためて、ためて、

そして、ラストに、

母の一撃のカタルシス!

うーっ、たまらん !!!

快感!

何と言っても、脚本が凄い。

そして、ラストのカタルシスの演出には全く胸のすく思い。

感情移入をハンパなく煽り、最後の母のひと蹴りに僕らの気持ちを代弁させる!

アメリカ映画なのに、まるでスペインテイストのサスペンス。

アメリカ産サスペンスだって、やるときはやる!

MY評価 : ☆☆☆★★★
2009年公開   アメリカ   123min   原題 Orphan (孤児)
監督     ジャウム・コレット=セラ
キャスト   イザベル・ファーマン、ヴェラ・ファーミガ、ピーター・サースガード
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映画「私の男」二階堂ふみの匂いがする!

 

キーワードは匂い

男と女の究極のつながりを描いて、これほど映画的な魅力に満ちた日本映画は、

大島渚の「愛のコリーダ」以来。

キーワードは匂い。

「愛のコリーダ」もそうだったように、匂いの共有こそが男と女の決定的な繋がりでもあるかのようだ。

二階堂ふみの匂いが映画全体に浸透していて、なにもかもを圧倒してしまう。

明らかに特別な才能が、彼女にはあるようだ。

この映画の彼女のエネルギーはとてつもない。

二階堂ふみの匂いにあてられないよう、要注意!

MY評価 : ☆☆☆☆
2014年公開   日活     129min
監督       熊切和嘉
原作       桜庭一樹
キャスト     二階堂ふみ、浅野忠信、藤竜也
第13回ニューヨーク・アジア映画祭(2014年)ライジングスター・アワード(二階堂ふみ)第36回モスクワ国際(2014年)/最優秀作品賞、最優秀男優賞(浅野忠信)       第38回日本アカデミー賞/優秀主演女優賞(二階堂ふみ)          
第69回毎日映画コンクール/日本映画大賞
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映画「クロニクル」ドラゴンボール版青春葛藤カルトムービー!

ドラゴンボールの世界を現実化

ドラゴンボール青春葛藤映画

ある日、ドラゴンボールの世界が突然訪れてしまう。

もし超能力が自由に使えたらって、誰でも考えたことがあるよね。

しかし、それは破滅への危険な罠。

超能力と青春の友情と苦悩映画。

デイン・デハーンは苦悩映画がよく似合う。

彼の好演でこの映画はいっそう深い味わいとなった。

彼がこの後、スパイダーマンのかたき役に大躍進するのもよくわかるよね。

世界で異例の大ヒットも日本では大コケした為、

今ではカルトムービーかな。

MY評価 : ☆☆☆★★★
2012年公開   アメリカ   83min   原題 Chronicle(年代記)
監督       ジョシュ・トランク
キャスト     デイン・デハーン
*日本公開  2013/9/27
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映画「マッドマックス 怒りのデス・ロード」みんな、狂った世界が見たいんだ!

 

1979年、マッドマックスから30数年を経て、再びジョージ・ミラーの世界が甦る

プロローグから一気に疾走する

ジョージ・ミラー帝国の造形は想像を超えていく。

Sexta/Viernes/Friday-POSER-Deus - Dios - God

混沌とした世紀末の表現は低予算の一作目から際立つが、それはエスカレートする一方だ。

ところどころで、自分の感性の枠を超えるシーンに出会った瞬間に観客の恍惚が訪れる。

しかし、派手になればなるほど観客はそれ以上を求める。

すれっからしの感性は、もっともっと、と要求する。

みんな、狂った世界が見たいんだ!

麻痺し始める感覚を救ったのは、人間たちの肉体の表現だった。

個々のドラマに寄り添う肉体の表現がこそが、観客の感情を喚起する。

ジョージ・ミラーのこの表現のこだわりこそ、観る者の心に正しく届くのである。

「マッド・マックス」ファンの期待に十分に応えた出来となった。

MY評価 : ☆☆☆☆
2015年公開   豪/米合作   120min   原題 Mad Max: Fury Road
監督/ジョージ・ミラー、撮影/ジョン・シール、音楽/ジャンキーXL     
キャスト/トム・ハーディー、シャーリーズ・セロン
第88回アカデミー賞受賞/ 衣装デザイン賞 、美術賞
 メイクアップ&ヘアスタイリング  、編集賞 音響編集賞 、録音賞
 ノミネート/撮影賞 、視覚効果賞  、監督賞  、作品賞 他多数
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映画「スティーブン・キング ファミリー・シークレット」あなたならどうする?

後味の良いショッキングスリラー!

スティーブン・キング自身の脚色

原作「素晴らしき結婚生活」 STEPHEN KING’S A GOOD MARRIAGE

もう、題だけで怖いでしょ。

S・キングで、結婚で、素晴らしいとくれば、怖いこと請け合い。

監督ピーター・アスキンってだれ?でも、ヒロインのジョーン・アレンは知ってる。

何といっても、「ボーン・シリーズ」のCIA女性諜報員パメラ・ランディ。

さらに言えば、女性副大統領候補になって悪戦苦闘する「ザ・コンテンダー」。

これ、アカデミー主演女優ノミネイトだった。

もっといえば「フェイス・オフ」のトラボルタの奥さん役。

どの役もシリアスに印象的で、役どころに深みを形成させることでは一流だ。

今回はごく普通の奥さん役だが、なんとダンナが変態猟奇的連続殺人鬼だ!

で、それを知ったときからこの普通の奥さんは「変態猟奇的連続殺人鬼」の奥さんになってしまうのである。

おんなじベッドで、いつものように隣にいる!

たとえようもない恐怖!

アンタならどうする?! 

この映画の凄いところは、彼女の対応ぶりなのだが、慌てふためいたところから

いつもの日常をおくりだす過程の描写のうまさにある。

ふつうはヒロインが覚悟する感情の描写をきっちりとたっぷりと描くものだろうし、描きたくなるもの。

でも、そうはしない。

しらっと、日常に移行する。

観客は戸惑うが、興味をそそられついて行かされる。

彼女の本当の覚悟はラストに取っておくのだ。

そして、エンディングはもうひとつの仕掛けによってさらに深みを増す。

後味の良いスリラーのできあがりである。

WOWOW日本初公開作品。

MY評価 : ☆☆☆★★★
2014年製作  未公開/日本初公開WOWOW2015/6  アメリカ  102min  
原題  STEPHEN KING'S A GOOD MARRIAGE
 監督/ピーター・アスキン  原作・脚本/スティーブン・キング
キャスト/ジョーン・アレン、アンソニー・ラバリア