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「ミュージアム」救えない映画!


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つくっちゃいけない映画もある


いや、正確に言うと作り方が問題なのだ。

全く救いの無い映画の代表的傑作「セブン」からまるまる触発されたことはわかり過ぎるほどで、実は観る前から嫌な予感はあった。そして観た後では予感以上の嫌悪しか残らなかった。これは、コミックの原作と演出の共同作業で犯した酷い間違いなのだ。

「セブン」の世界観に似すぎてはいるが、あまりにも似て非なるものになってしまった。

しかし良いところもある。俳優たちの情熱と存在感のある演技はこの映画をどれだけ救っていることだろう。それだけで映画を引っ張っていたと言ってもいいぐらの印象だ。

猟奇的連続殺人事件という映画のジャンルとして確立している王道サスペンスなのだが、どれほどシリアスなドラマを背景に持ってきても、いずれも類型的過ぎて説得力やリアリィーが決定的に欠けてしまっている。犯人の行動の目的が「作品作り」で、その理由が幼い時の「トラウマ」で、自分の「ミュージアム」を作るという一見奇抜な発想も見事に陳腐にならざるを得ない。だがそこは原作の設定なのだから、監督はその上で何か自分なりの思いや世界が無ければ映画を作る意味がない。この映画を観た後に思うことは、この監督は何も言いたいことが無かったのだろうというのが率直な感想だ。まあ、そうとしか見えなかったことが問題なのだろうが……。

であれば、むしろホラー映画に徹底すれば良かったのだが、何かを言おうとしているつくりなので結果はイメージを追いかけただけの印象となってしまった。

そうなると趣味の悪過ぎるコメディーならぬ、えげつなさに彩られたシリアスで楽しめない娯楽映画ということだけが残ってしまったのである。

MY評価 ☆☆☆(小栗旬の好演でオマケ評価)

2016年公開  WB配給  132min 
 
監督/脚本  大友啓史

キャスト  小栗旬、妻夫木聡、尾野真千子、野村周平

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映画「デビルズ・ノット」は悪魔の結び目

アメリカ史上最悪の冤罪事件をもとにつくられた、サスペンス・ミステリー

この事件の比類なき衝撃性は、三人の幼い子供に対する猟奇的な手口の殺人であることもさることながら、余りにもずさん且つ保守的で偏見に満ちた捜査と裁判により判決が決定されてしまったという事実にある。

1993年に起きた事件は、第一級殺人の罪で三人の少年が収監され、18年後の2011年に獄中の3人が有罪を認める代わりに釈放されるという異例の司法取引が行われたという。

まるで、誰もが冤罪とわかっていたかのように。

悪魔の渦

渦の濁流に乗った木の葉は

中心に向かって運ばれて行くしかない

中心にたどり着いたら

その渦の中に飲み込まれていくだけ

巻き込まれたら最後

飲み込まれるだけ

悪魔は人が作り出し

悪魔の結び目も人が結ぶ

デビルズ・ノットとは悪魔の結び目

いつか結び目が解ける日が来るとしたら

それを解くのは

悪魔でも神でもなく

人の力で解くしかないのだ

MY評価:☆☆☆★★
2014年公開   アメリカ   114min   原題/Devil's Knot(悪魔の結び目)
監督/アトム・エゴヤン 、脚本/ポール・ハリス・ボードマン 
原作/マーラ・レヴァリット 、音楽/マイケル・ダナ、撮影/ポール・サロッシー
キャスト/コリン・ファース、リース・ウィザースプーン、ミレイユ・イーノス
デイン・デハーン
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映画「ゾディアック」何かヤバイ物に取付かれてる!

もし、犯罪を無作為に偶然だけで行うことができたなら…

いくら犯罪を繰り返えそうとも、その犯人に、誰一人、たどり着くことはできない…

それこそ、偶然でもないかぎり…究極の完全犯罪となりうる。

犯人は、計画性を排除し、必然性の糸を全て裁ち切ることを意識しているのだろうか?

つまり、無作為の作為。

それとも、ただの気まぐれ、行きずり、なのだろうか?

瞬きする間の如く…完全犯罪が音もなく姿も見せず、通り過ぎていく。

「セブン」に続いてまたもやデヴィット・フィンチャーがやってくれた。

未解決事件の実録版映画。

全く救いを用意しない映画。

人間の絶望に取付かれているとしか思えない。

その精神は、いったいどんな闇に取付かれてるというのだろうか?

恐ろし過ぎて、知りたくもないが…

MY評価 : ☆☆☆★★★
2007年公開   アメリカ   158min   
原題/Zodiac(十二宮図/ギリシャ神話の星座から)
監督/デヴィット・フィンチャー
キャスト/ジェイク・ギレンホール、ロバート・ダウニー・Jr
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映画「セブン」人によっては、観てはいけない映画がある!

映画史に残る全く救いのないラスト!

犯罪を犯すことになんら良心の呵責を感じない人間と、人間が本当に絶望する姿を描くこの作品が、なぜ傑作なのか?

それも人間の本質なのだということを凄まじいばかりに訴えてくる説得力に、僕たちは茫然とする。

人によっては、本当に観てはいけない映画というものがあるということを、この映画を観て初めて思った。

映画の持つチカラに対抗できるだけの状態でない時、精神的に弱っている時なんかも観ない方がいいかもしれないね。

ブラッド・ピットの若さが魅力的だ。

MY評価 : ☆☆☆☆
1996年公開   アメリカ   127min   原題 Seven (七つの大罪より)
監督/デヴィット・フィンチャー、撮影/ダリウス・コンジ
キャスト/ブラッド・ピット、モーガン・フリーマン、ケヴィン・スペイシー、
     グウィネス・パルトロー
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映画「誰よりも狙われた男」最後に裏切ったもの勝ち!

 

極の後出しジャンケン

更に悪い方が勝つというスパイの話だ

どうしたって暗くなるし、哀しくなる。

最後に裏切ったもの勝ち!

後出しじゃんけんの状況にした方が勝つなんて…
SPY CATCHER

この映画、フィリップ・シーモア・ホフマンの独壇場だ。

彼の演技はいつも素晴らしくリアルで、なんだか彼の匂いとか、息や汗まで感じられる。

去年、薬物過剰摂取で亡くなり、この映画が遺作となってしまった。

役に乗り移るタイプの役者だけに、こういう役は辛いだろうな、と単純に思ってしまう。

月並みだけど、とにかく冥福を祈ろう。

でも、歳をとった彼が見たかったな。

どんなに凄いことになってしまうのか、想像もつかないほどの役者だったのだから

MY評価 : ☆☆☆★★★
2014年公開  英/米/独合作  122min  原題 A Most Wanted Man
監督/アントン・コルベイン、原作 ジョン・ル・カレ『誰よりも狙われた男』 、
脚本 アンドリュー・ボーヴェル
キャスト/ フィリップ・シーモア・ホフマン、 レイチェル・マクアダムス、
ウィレム・デフォー