映画「特捜部Q Pからのメッセージ」絶望の果ての希望とは?


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芳醇なワインは今やオリ(澱)が瓶の底に沈殿している

「特捜部Q檻の中の女」の感想で、芳醇なワインのような作品だと以前に書いた。

このQシリーズの1作目だ。2作目は「キジ殺し」で今回は3作目になり、作品世界も濃度を増し今では年代物の赤ワインの澱が瓶の底に沈殿しているかのようだ。もちろんいい意味で……。

3作目の刑事カールは、1作と2作の捜査で疲れ果ててしまい、ポンコツになりかけていた。今や助手のアサドが主導しカールが助手のようについていく。もともと心に深い傷を持ち神も仏も信じていないカール自身の心の闇が、今回のテーマに深く関わっていく。

原作は北欧の権威ある文学賞「ガラスの鍵賞」を受賞した「Pからのメッセージ」ということで、3作目の今作はとりわけ絶望の闇が深い。

ポンコツ刑事になり下がったとはいえ、元来の敏腕ぶりも発揮して犯人を追い詰めていくのだが、いかんせんポンコツ状態なので簡単に犯人の手に落ちてしまうところは観客の興を幾分削ぐ展開だが、その点以外は非の打ち所が無いほど素晴らしい。

カールは相変わらず無神論者なのかもしれないが、映画の終わりの方で涙ながらに歌う彼の讃美歌が胸を打つ。そして最後に一言、肯定的な言葉を残して突然終わるエンディングは、一筋の光と救いを暗示させ、深い余韻を残す。

MY評価/☆☆☆☆

2016/2017  デンマーク・ドイツ・スウェーデン・ノルウェー合作 112min

原題/Flaskepost fra P
監督/ハンス・ペテル・モランド 、原作/ユッシ・エーズラ・オールスン
脚本/ニコライ・アーセル

キャスト/ニコライ・リー・カース、ファレス・ファレス

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