胸のすく、ヒーロー映画!
女性は強ければ強いほど、爽快だ。
女性ヒーローは中途半端な強さになりがちだが、ワンダー・ウーマンはとにかく圧倒的に強く、おまけに無垢で純粋で一途で、そしてユーモアセンスまであるのだから、最強かつチャーミングでとても魅力的な女性なのである。
この映画が成功した理由は、ワンダー・ウーマンの女性像というかヒーロー像の造形の上手さに集約されている。
彼女の魅力がイコール映画の魅力となっているという造りなのだから、演じる女優のガル・ガドットは如何に素晴らしかったかである。
そして監督がパティー・ジェンキンスという女性だったということはこの場合意味のある事なのだろう。彼女は存在感のある女性をつくり上げることに関しては優れた才能を発揮する。
出世作となった2003年作「モンスター」ではこの作品でシャーリーズ・セロンがアカデミー主演女優賞を受賞した熱演をベースにして、社会が生み出した負の体現者である連続殺人者という女性を描き出した。いわば「ワンダー・ウーマン」とは対極の容姿も醜い女性像を確立し、そのエネルギーで一気に物語を展開させた迫力ある演出は見事なものだった。
今回の映画も向かうベクトルが違うだけで、根本の想像力とエネルギーは同質のものなのかもしれない。
ガル・ガドットという女優に出会ったパティー・ジェンキンス監督の幸運と、彼女の魅力を最大限に生かし切ったジェンキンス監督の手腕に拍手。
MY評価:☆☆☆☆ 2017公開 アメリカ 141min 原題/Wonder Woman 監督/パティー・ジェンキンス キャスト/ガル・ガドット、クリス・パイン