シャーリーズ・セロン大暴れ
この映画の最大の見せ場はアクションにある
何故なら、最後の最後まで観客を裏切る脚本は、やればやるほど凡庸だからである。
驚くほどにスパイ映画として新味が無いからだ。
シャーリーズ・セロンが思いっきり暴れまくるのを見るだけでいいのかもしれない。
彼女の魅力をアクションからとらえる試みは既に「マッドマックス 怒りのデスロード」で成功しているが、今回のアクションは一味違っていた。
唸り声をあげつつ思い切り振りかぶってから殴る蹴るの大立ち回り、七転八倒、阿鼻叫喚。
洗練さからは程遠く、泥臭いほどの肉弾戦の趣きで、そこがむしろ新鮮だ
ただし、「ジェイソン・ボーン」シリーズの様な切れ味鋭いアクションやデンゼル・ワシントンの「イコライザー」の様な簡潔かつ流れるようなアクションの演出を目指している所も垣間見えるのである。
しかし、そこまでのクウォリティーには程遠かった。
カメラと編集がいくら頑張っても俳優の肉体がついていけてない。
そうなればもうやれることは一つ。開き直って人間臭いくんずほぐれつのアクション路線をいくしかない。だからなのか双方混在のアクション映画になっていて、ボーンを真似たシーンはそりゃさすがにダメだろという感じの粗が目立ち、肉弾戦の方にはそうかもしれないなといったリアリティーがあり、その結果、映画全体のバランスを崩している。
まあ、シャーリーズ・セロン・ファンの身からすればそれなりに楽しめるのだが、なにしろ映画の出来がいま一つなものだからやっぱり物足りない。
ちょっと余談だが…
あらゆる修羅場をくぐり抜けた後のボロボロになった彼女が氷風呂で回復するシーンで、ハガネの様な筋肉の鎧をまとった傷だらけの背中がほれぼれするほどカッコいいのだが、どう見ても彼女のそっくりさんだったということはその後のシーン等でバレバレでした。
うーん、残念!
MY評価:☆☆☆★★ 2017年 アメリカ 115min 原題/Atomic Blonde 監督/デビット・リーチ 原作/アンソニー・ジョンストン&サム・ハート『The Coldest City』 キャスト/シャーリーズ・セロン(製作)、ジェームズ・マカヴォイ、ジョン・グッドマン