
過酷なのにナイーブな時代
ナイーブを人の形にしたら、ロビン・ウィリアムズになる。
1978年に「ディア・ハンター」があり、1979年は「地獄の黙示録」。1980年代に入ると「プラトーン」「ハンバーガー・ヒル」「フルメタル・ジャケット」「7月4日に生まれて」そして今作となる。そして、まだまだ沢山の作品がつくり続けられた。
ナイーブな役者はいくらもいるが、今にも崩れそうな脆さを内包する目をした役者はそうはいない。
ロビンはこの時期すでにアルコール依存症に苦しんでいたというが、そんな時期だということも関係してるのか、この映画の彼はとびきりナイーブな面持ちだ。
ベトナム戦争が終わったのが1975年で、この作品が製作されたのが1987年。10年以上を経てなお昨日のことのように作られたこの作品は、つまりこの時期まだ全くベトナム戦争が終わっていないことの証明でもある。10年やそこらでは重大な事が終わった場合はほんのひと時でしかない。
アメリカはベトナム戦争の後遺症で苦しんでいた真最中で、ベトナム戦争を題材にした映画は多い。アメリカもまた、とてもナイーブな時代であったのだ。
不幸にも時代とリンクしてしまったロビン・ウィリアムズ。
自身の孤独と傷ついたアメリカの不幸とが重なり合い結実したかのようなこの映画は、サッチモの「素晴らしきこの世界」の永遠の歌声にのせて見事に普遍性を獲得している。
心を動かされずにはいられないのである。
1987/1988年公開 アメリカ 121min
原題/Good Morning, Vietnam
スタッフ 監督/バリー・レビンソン
音楽/アレックス・ノース、撮影/エマニュエル・ルベツキ
キャスト ロビン・ウィリアムズ、フォレスト」・ウィテカー
第60回アカデミー主演男優賞ノミネート
MY評価:☆☆☆☆