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映画「男と女」フォトジェニックに昇華して!


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陶酔映画の極致

大人になって観るほどに陶酔する映画

若干29才のクロード・ルルーシュ監督が夢想した、大人の世界なのか。

自身がカメラマンとなり、フォトジェニックな映像美の世界に昇華させた。

全く無名の新人がスポンサーもなしに映画史に残る作品を完成させるなんて、ヌーヴェル・ヴァーグというニュー・ウエーブがあったからとも言るが、ルルーシュ独自の世界観の特異性の当然の結果なのかもしれない。

映画製作に於いての行動力はヌーヴェル・ヴァーグ的かもしれないが、当時は日本でさえも体制的な作家として多少の不遇感はあったように記憶してるし、ましてや、本国フランスにおける彼の立ち位置は微妙な息苦しさがあっただろうことは容易にうかがえる。そんな環境の中、まだ無名だったことはむしろ幸運だったのではないか?生涯で一番自分のやりたいようにできた作品だったのかもしれない。

金銭的な制約は自らカメラを担いで極めて短時間に撮ってしまうという、当時では革命的な手法をもたらした。それは軽快なリズムとドキュメンタリーのようなリアル感を生み出すことになった。

更に特筆すべきは、フランシス・レイとクロード・ルルーシュとの出会いである。映像に音楽が効果的に作用するとかではなく、その二つは相互に対等に作用して融合するという、映画史上未だかつてなかったスタイルを生み出したのだ。

幸運で幸福なふたりの出会い

フランシス・レイなくしてルルーシュ作品は成立しないと言ってもいい。

出会いは彼らにとっても幸運だったが、映画界にとっても幸福な出来事だった。これ以降と以前では映像と音楽のかかわり方が明白に違ってくるのだから。

さらに、フランシス・レイのメロディアスでリリカルな音楽性と、ブラジルのボサノバとの融合というチャレンジは、稀に見る成功をもたらした。

そして、アヌーク・エーメの美しすぎるほどの存在が「男と女」の幸運の最後のピースとなり、奇跡の映画が誕生した。

MY評価 : ☆☆☆☆★
1966年公開   フランス   102min    
原題/Un homme et une femme (ある男とある女)
監督・脚本・撮影/フランシス・レイ
音楽/クロード・ルルーシュ、バーデン・パウエル
キャスト/ジャン=ルイ・トランティニャン、アヌーク・エーメ、、ピエール・バルー
1966年カンヌ映画祭グランプリ受賞 
1966年アカデミー外国映画賞受賞

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映画「グロリア」ハンドバッグにマグナム入れて‥‥

 
ゾクゾクするほどカッコ良過ぎる映画

主役は、マグナムが世界一似合うジーナ・ローランズ

パートナーはあの、ジョン・カサベテス。本作の監督、脚本でもある。

カサベテスとジーナは映画作りの戦友のような関係なのではないだろうか。

さすがに、彼女の魅力をよくわかってると思わせるシーンの連発だ。

と言うより、カサベテスはジーナにべた惚れなのがよくわかる。

彼がジーナをどれほどカッコ良く魅力的で素敵な女性なのかを一番よく知っていて、そこを如何に魅力的に映像に写し取るかに異常なまでの情熱を燃やす。
特に輝くシーンは、ジーナ・ローランズが拳銃を使う幾つかのシーンに凝縮しているといっていい。

ジーナは、いきなりマグナムをぶっ放す!

そのタイミングが素晴らしい。

躊躇なく撃つ。

躊躇なく相手を殺しにかかる。

そのタイミングの演出とジーナの演技が、リアルな世界を誕生させる。

今この瞬間にと「判断」して撃つ訳ではないところがいい。

考える間もなく、彼女が今まで生き残ってきた嗅覚が瞬時に反応しているだけ、と思わせるリアルさを演出している。

グロリアの生きてきた環境も、彼女の性格も、一気にすべてを見せてしまう演出と演技。

グロリア(ジーナ)は、マグナムが良く似合う

タクシーの止め方、ドライバーとのやりとり、バーでのたたずまいとバーテンとの何気ない会話、ホテルマンや銀行マンとの態度等々すべてのシーンに意味があり、経験と動物的感から感じ取る危険を回避する反応と決断と行動は、いったいどれほどの修羅場をくぐり抜けてきたのだろうか、と思わせるのである。

グロリアの一挙手一投足が彼女のあらゆる面を映し出すのだ。

男のハードボイルドの秀作は数あるが、

女のそれはこの「グロリア」をおいて右に出る映画はないだろう。

それほど、ジーナ・ローランズの存在感が際立っている。

当たり前だ。何故なら鬼才ジョン・カサベテスが渾身の力でジーナ・ローランズというたぐい稀なミューズをミューズたらしめるために撮った、彼女のための彼女だけの映画なのだから。

MY評価 : ☆☆☆☆
1981年公開  アメリカ  123min  原題 Groria 
監督/脚本/ジョン・カサベテス、音楽/ビル・コンティ 
キャスト/ジーナ・ローランズ 
1980年ヴェネチア国際映画祭 金獅子賞受賞
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映画「冒険者たち」陶酔こそ映画だ!

 
陶酔こそ映画だ!

青春の甘美な輝きを描いてこれ以上の映画があるだろうか!

異彩を放つ才能たちの、幸運なる出会いによって紡ぎだされた珠玉の一品。

みずみずしいタッチの演出に、フランソワ・ド・ルーペの 胸をかきむしるようなリリカルな音楽が全編を彩る。

時代が生んだ二度と再現できないアンサンブル

アラン・ドロンとリノ・ヴァンチュラ、正反対の個性の対比が生み出す稀に見る友情の奇跡。

ふたりの友情の間に佇むジョアンナ・シムカスの美しさは、女性が一生の間に最高に輝く一瞬の煌めきを体現していたかのようだった。

異色の才能がキラ星の如く集結し、今この瞬間にしかあり得ない輝きを永遠にフィルムに閉じ込めたのだ。

そう、まさにもう一度、TVでなく映画館で、デジタルでなくフィルムで観たいと思わせる代表の一作である。

MY評価 : ☆☆☆☆★
1967年公開   フランス   112min   原題 Les Abenturier
監督/脚本     ロベール・アンリコ   音楽 フランソワ・ド・ルーペ
キャスト         アラン・ドロン、リノ・ヴァンチュラ、ジョアンナ・シムカス
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映画「わたしは生きていける」今、戦争について思う!

  舞台は現代、イギリスで勃発する    核爆弾による「第三次世界大戦」

大見得切った反戦映画ではない

思春期の少女、少年たちのひと夏のバカンスの始まりが、実にみずみずしいタッチで描かれるなか、突然の戦争のただ中に放り込まれ、無残に散る命を目の当たりにしていくことになる。

眩いばかりの川辺で一瞬だけ見せた少年の背中の傷跡は、父親からの日常の暴力にさらされている生活を匂わせる。唯一の心のよりどころの飼い犬を殺された少年が見せた思いがけない怒りの激しさは、少年の心の傷の深さを活写し、直後に空しく散っていく。

屈託のない明るくけなげだった弟君の死の描写は、あまりにも残酷だ。

更に、ピクニックのさなかの原爆の描写や、どこまでも幸福感に満ちた田舎の生活が突然の銃弾の嵐で破られるシーン等、全てのエピソードに異常ともいえる落差の激しさがあり、その激しさが戦争の本質を突いてくる。

悲しみの度合いも落差が効いていて、心に刺さる。

その瞬間、反戦の色合いを映し出す。

実は、この映画、突っ込みどころ満載で、いろんな否定的な意見が飛び交う。

思うに多分、ベストセラーとなったらしい原作は良く出来ているような気がするが、映画となると「落差の演出」に観客が付いてこれない程の思い切った展開なのだ。

ロマンスかと思えば、反戦映画?どっちなの?みたいな中途半端な印を印象与えてしまう危惧があるつくりは、やはり総体的な支持は難しかったようだ。

とはいえ、現在に於いて実にタイムリーな反戦映画になっていて、ディテールもとてもよく計算されていて全体的な印象と異なる細やかな演出が見事な作品だった。

そして、シアーシャ・ローナン演じるヒロインの少女は、自己嫌悪と自己否定の嵐を乗り越え、「悪いことは蓋をして、上を向いて進んでいくしかない。今がその時」と言い、戦争の残酷さをも正面切ってぶつかっていくサバイバルなタフネスさが美しい。

(WOWOWにてTV初公開)

MY評価 : ☆☆☆★★
2014年公開  イギリス  101min  原題 How Live Now
 監督/ケビン・マクドナルド
 キャスト/シアーシャ・ローナン 
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映画「アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜」平凡を非凡にするには…

 

平凡な人生を非凡な人生にする方法とは

非凡な人生、非凡な日々

憧れるよなあ

非凡という響き

でも、非凡て何だろう?

もし、愛おしい人生を生きることができたなら

それこそが非凡な人生なのだ

と、映画は言う

もし、毎日の平凡な日々を、本当に愛おしく過ごすことが出来れば

それが、非凡な日々となるのだろうか

平凡な時間も、非凡な時間の輝きを帯びていくのだろうか

もし、大切な人たちを、本当に大切にすることができれば

愛おしい人生となるのだろうか

映画は、もしも特殊な能力があったとしても

例えば、金を得るために使うとかではなく

愛のある人生を構築することにのみ使うことが

人を幸せにするコツなのだ

と言うのである

なんと平凡な結論なのだろうか

さらには、愛ある人生のために必要なこととは

平凡な日々を大切に生きることだ

とも言うのだった

映画はその事を云うために、極めて奇抜な仕掛けを用意し、観客を不思議な世界へと誘う

観終わった後、ぼくはとても心地よく納得し、幸せな余韻に浸るのだった。

MY評価 : ☆☆☆☆
2014年日本公開    124min  英/米合作   
原題  ABOUT TIME(良い頃合い)
監督・脚本/リチャード・カーティス、音楽/ニック・レアード=クロウズ 、
撮影/ジョン・グレセリアン
キャスト/ドナルド・グリーン、レイチェル・マクアダムス、ビル・ナイ
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映画「ローマの教室で、我らの佳き日々」寡黙ながらも饒舌に

視点がどこまでも暖かい

寡黙な佇まいながらも饒舌な映画


教育に対して若く情熱に溢れた高校の臨時教員。かつての希望も情熱も今は消え失せ死ぬことさえ身近になっている老教師。規律を重んじることでなんとか気持ちと学校経営を支えている中年の女性校長。それぞれに抱えるジレンマに悩みながらも生きていく姿を、暖かく見守る教育映画である。

映画の語り口は、決して性急に答えを出そうとはせずに、いたって自然に無理しないスタンスを守り抜く。

答えを出そうとしないところが、かえって心地良い。

目線が低くもなく、高くもなく、自然な高さなのもいい。

まるでドキュメンタリーのような趣きだ。

カメラはドラマを語り、そして見守る

映画は唐突に終わりを迎える。

そして、本当に何も解決されていないことにしばし呆気にとられるが、すぐに気づく。

これこそリアルな現実なのだと。

本当はとても多くを語っていたのだ。

実は脚本と演出が周到に練られ、ドラマなきドラマが見事に描かれていたことに思い至る。

3人の役者もしみじみ良くて、さりげない秀作という言い方が良く似合う。

MY評価 : ☆☆☆★★★
2014年公開   イタリア   101min
原題:Il rosso e il blu/原案:マルコ・ロドリ著「赤と青 ローマの教室でぼくらは」
監督・脚本/ジュゼッペ・ピッチョーニ
キャスト/マルゲリータ・ブイ、リッカルド・スカマルチョ、ロベルト・エルリツカ
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映画「マップ・トゥ・ザ・スターズ」監督クローネンバークの深い闇

 

監督デビッド・クローネンバーグ今度も深い闇を連れて来たね!

テーマはやたら重いが、見始めたら一気に持っていかれる。

アクションでもなく、サスペンスやスリラーでもないのに、

とてもスリリングな展開に息つくひまもなく、気が付いたら終わっていた。

年齢に関係なく、抱える闇の深さが人の心を浸食し、最後には壊してしまう。

何か抗う手立ては無かったのだろうか?と思うが、いともたやすく壊れていく。

まるで、儚くもろいガラスの人形のように、持ち方を誤まると、簡単に落として粉々に砕け散ってしまうのか。

ジュリアン・ムーアは何を演らせても達者な女優だと知ってはいたが、今回の演技にはあらためて彼女のポテンシャルの奥の深さを見た思いだ。

MY評価 : ☆☆☆☆
2014年公開  カナダ/米/独/仏合作  109min  原題 Maps to the Stars
監督/デビッド・クローネンバーグ   
脚本/ブルース・ワグナー  撮影/ピーター・サシツキー
キャスト/ジュリアン・ムーア、ミア・ワシコウスカ、ジョン・キューザック
第67回カンヌ国際映画祭主演女優賞受賞
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映画「ストックホルムでワルツを」時代の空気が甦る、ワルツというジャズ!

躍動感に満ちている!

世界的スウェーデンのジャズ・シンガー、モニカ・ゼタールンドの伝記映画

伝記映画ってどこか説教臭かったりで、退屈な場面もあったりするのだが、

それがないのがとてもいい。

生き生きと、時代の空気が甦る。

 

演じるエッダ・マグナソンの歌姫っぷりが、魅力に溢れてる。

歌が上手く、美人で、キュートで、色っぽいから、かなり無敵である!

 

演出が良くて、脚本も良くて、ヒロインがサイコーの映画なので、本国スウェーデンで異常な大ヒットも理解できるというもの。

 

ところで、去年の暮れに映画が公開されたのを機に、エッダ・マグナソンが来日していたらしい。おまけに、ブルーノート東京に出演していた!なんという不覚!!!

 

 

MY評価 : ☆☆☆★★★
2014年公開  スウェーデン  111min  原題 MONICA Z
監督/ペール・フライ、撮影 /エリック・クレス、 音楽 /ペーター・ノーダール
キャスト/エッダ・マグナソン

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映画「タンゴ・リブレ 君を想う」ラストで一気にしあわせになれるよ!

タンゴは魂のダンス!

タンゴが元は男同士の踊りだったとは!

フラストレーションのはけ口として、男同士が酒場で荒々しく踊ったのが、タンゴの始まりらしい。

タンゴそのものは、表面上映画に直接の関係はない。

しかし、根幹にあるのは、タンゴそのものなのだろう。

それにしても、恐れ入った映画だ。

映画の展開に、モヤモヤ、やきもき、もういい加減にしろよ!心の中で悪態をついていたが、

最後に、一気に幸せにしてくれるラストシーンが待っていた。

そして、タンゴの饗宴のエンドロールへと続く。

MY評価 : ☆☆☆★★★
2013年公開  ベルギー/ルクセンブルク合作  97min
監督/フレディック・フォンティーヌ
キャスト/フランソワ・ダミアン、セルジ・ロペス、ロペス アンヌ・パウリスヴィック
第69回ベネチア国際映画祭オリゾンティ部門審査員特別賞受賞
第28回ワルシャワ国際映画祭グランプリ
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映画「ウィークエンドはパリで」シニアだって大人になるのは難しい!

シニアと言われたって、中身はそう簡単には枯れない

世間的には老夫婦に見えるだろうし、爺さん婆さん呼ばわりだが、若者のように生臭かったりするわけで、まだまだ人生の現役感バリバリだ。

若い人たちから見たら、そうは見えないかもしれないが、案外そういうものだ。

人間、そんなに成長なんかしないもの

主人公の夫婦は、旦那がこれからリストラされるという大学教授と奥さんも中学の教師という教師コンビのかなりお堅いカンジなのだが、やることはメチャクチャだ。

結婚30周年の記念の旅行を新婚旅行で行ったパリに再訪するのだが、異国での解放感からか、高級そうなレストランで食い逃げしてみたり、高級ホテルのスウィートに連泊したあげくにカードの限度額を超えてしまうほど羽目を外したり、おまけにフロントで笑い事じゃないと詰め寄られているさ中に「そんな話は聞きたくない」などと言って、ホテルを出て行ってしまう。

全くふざけたはなしだが、本人たちはいたって普通に見える。ちょっと軽く冒険してみてるだけ、と言わんばかりに。
中身がそれほど成熟しないのに、歳だけとっていき、見た目はきちんと爺さん婆さんで、悩みは老齢なりの身体的な事や様々な出来事などに悩ませられる、いう構図は世界中一緒なんだって思った。

それにしても、シニアが羽目を外すと、手が付けられないというか、始末に悪いというか、本人が悪びれないところも困ったところで、自戒込めて観てしまった。

シニアだって、実は大人になるのは難しいことなのである!

MY評価 : ☆☆☆★
2014年公開  イギリス  93min  原題 Le Week-End
監督/ロジャー・ミッシェル   
キャスト/ジム・ブロードベント リンゼイ・ダンカン
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映画「悪童日記」ラストに、唖然としてしまった‥‥

激動の時代を生き抜いてきたが…

生きる環境が極端に過酷な場合の子供は、どのようになるのだろうか?

まるでガラス越しに観察しているような気分になる映画だ。

生き抜くために、肉体と精神が痛みに慣れる訓練をする。

或る信念をもって実行していくが、内面のナイーブさが彼等の優しさと弱さだ。

彼等双子にとって、最も苦痛なことは…

ラストに彼等が自らに課す試練とは…

彼等の選択したことのあまりの厳しさに

しばし目を疑い

唖然としてしまった‥‥

MY評価 : ☆☆☆★★★
2014年公開 独/ハンガリー合作 111min
監督 ヤーノシュ・サース   原作 アタゴ・クリストフ(悪童日記)
音楽/ヨハン・ヨハンソン、 撮影/クリスティアン・ベルガー
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映画「紙の月」自分の心の中を覗いてみたくなる

  

主人公の梨花はいともたやすく超えて行く!

日常と犯罪の挟間のクレパスをサラッと超えて行くように見えた。

そんなに簡単でいいのか?

なんだか共感できないな‥‥

もっとなんか、あるだろう、そこには簡単に見えても簡単に超えることのできない何かが!

っという風に思いつつ観ていたが、気が付くと次第に梨花に同化していっている自分を発見してしまった。

この映画が非常に多くの支持を得た理由はいくつもあるだろうが、特筆すべきは二点。

ひとつは、違和感の感じ方。

梨花の感じる日常の中のちょっとした違和感の描写だ。この違和感の集積こそが梨花を犯罪へと走らせた正体なのかもしれない、と観客に思わせる細やかな演出がいい。僕たちは、わかるわかると思い、そしてそれがいつしか梨花の気持ちに共感させられていくのだ。

もうひとつは、爽快感。

物語の終わり方が、まるで優れた逃げ切り形アメリカ映画のように一気に観客を解放する爽快感だ。素晴らしい展開(原作)だし、映画の方の描写力も秀逸だ。

それにしても恐ろしいはなしだ。

自分も案外、越えられないはずの挟間を、実は簡単に何かの成り行きとかで、

ひょいっとばかりに越えてしまえるんじゃなかろうか?

と自問している自分を感じたときに…

はたして、自分の中に梨花と同じ「紙の月」を見てしまうのだろうか?

MY評価 : ☆☆☆☆
2014年公開  松竹  126min
監督/吉田大八 、原作/角田光代 、脚本/早船歌江子
キャスト/宮沢りえ、池松壮亮
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映画「百円の恋」百円女が本気になる時

 
いいとこ突いてる映画だよな

不思議と心を掴まれる

ありえない間とかけっこうあって、なかなか独自の雰囲気だ。

無気力、無目的なまま32才の自称百円の女が、ある時から何となく変わっていく。

その過程が妙にリアルだ。

安藤サクラの存在感がそのまま百円女のリアリティーに見えてくる。

百円女だって、本気になる時がある。

それがボクシングってとこが面白いんだけど、それは実はキッカケだ。

百円女の中では、すでにいろんなものが変わっていっている。

映画の説明を全くしないという演出は、独自のリアリティを生み出すことに成功している。

ニッチだが、日本映画の進むべき一つの道だろうと思わせるだけのものがあった。

MY評価 : ☆☆☆★★★
2014年  113min  
監督/武正晴、脚本/足立紳 
音楽/海田庄吾、 主題歌/クリープハイプ「百八円の恋」、撮影/西村博光
キャスト/安藤サクラ、新井浩文
東京国際映画祭「日本映画スプラッシュ部門」作品賞をはじめ、国内映画賞10冠
第19回プチョン国際ファンタスティック映画祭「NETPAC賞(最優秀アジア映画賞)」受賞
第4回CUT ABOVE賞 for Outstanding Performance in Film 受賞
(主演の安藤さくら<日本映画に最も貢献した映画人>を讃える賞/ニューヨーク開催)
2016年日本アカデミー主演女優賞受賞/安藤サクラ
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映画「特捜部 檻の中の女」大人のための最高級ワイン


「特捜部Q 檻の中の女」芳醇な香り豊かなワインのようだ。

「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」の脚本とカメラ、どうりで同じテイスト。

何処をとっても一級品の出来栄えだが、それにしてもと思ってしまう。

どうしてデンマーク映画はこうも素晴らしい作品が次々生まれてくるのか?

正直に言って、日本映画のこの種の映画とのレベルの差が、あまりに大きいことに愕然としてしまう。

決定的な違いは、語り口のリアリティーのレベルの差なのだろうか?

それを形成するあらゆる要素の総合力の差は、歴然たるものがあると言わざるを得ない。

映画製作の環境の違いなのか?
予算も手間も時間も素材も、すべてが違い過ぎるということなのか‥‥

デンマーク製を最高級ワインとすると、ハリウッド製は飲み口のいい程良いワイン、日本製は低廉なテーブルワインといったところになってしまうことが悲しい。

いつか、こんな日本映画が観たい。

MY評価 : ☆☆☆☆
2015年公開  デンマーク  97min  原題/Kvinden i buret
監督/ミケル・ノルガード 、原作/ユッシ・エーズラ・オールスン、
脚本/ニコライ・アーセル、撮影/エリック・クレス
キャスト/カール・マーク、アサド
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映画「0.5ミリ」安藤桃子という稀有で偉大な才能

 

観ていて終わってほしくないと思う数少ない映画

196分、3時間16分、破格に長い

観ていると長いとは思わない、というか面白くてしかたないから、長いんだろうけどずーと観ていたいと思わせる。

内容はとてもシリアスで、社会的な問題提起ともいえるいくつかのテーマを持っているが、タッチは軽やかで、エンターテイメントのコメディとしても秀逸である。

この映画のいいところを上げたらキリがないというほど、あらゆる様々な面で優れている。しかし、それもこれも、安藤桃子という監督の演出に支えられて光り輝いているのである。

何故なら、みずみずしく躍動感に満ちた映像だから

映画監督の資質にとって一番大切なものを持っている。

それは日本の監督史の中でも特筆されるべき資質なのだろう。

全編映画の魅力に溢れている。画面が生き生とみずみずしく、躍動感に満ちているからだ。

つまり、極めて映画的な映画になっているのである。

それは、かつての巨匠たちもなかなか持ちえなかった偉大な資質であり、才能である。

原作があり、脚本があり、テーマがあり、監督の特異な視点もあり、しかしもし、その全てが仮に優れてたとしても、良い映画になったとしても、命のかよった生き生きとした映像を獲得できるわけではないのである。

そこが映画の素晴らしいところであり、同時に難しいところと言えるのではないだろうか。

この安藤桃子というまだほとんど経験のない監督は、落ち着いてさえいる演出のもとに、いともたやすくそのハードルを飛び越えてしまっているかのようだ。

もはや、稀有な才能の誕生と言わざるを得ない。

あれ!これヤバくない、褒め過ぎ?

MY評価 : ☆☆☆☆
2014年公開  196min 
原作/監督/脚本 安藤桃子
キャスト/安藤さくら、津川雅彦、柄本明、坂田利夫、草笛光子
日本アカデミー賞、上海国際映画祭等各賞多数/作品、監督、脚本、主演女優、
助演男優助演女優賞 受賞
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番外篇 「夏の終わりに BEST5」

夏の終わり は特別だ

切なくて

せつなくて

セツナクテ  

 

夏のシネマ決定版5本!

1)一本目はやっぱり、なんといってもこれ!

「おもいでの夏」

1971年公開 アメリカ 104min 原題/The Summer of 42′  青春ロマンス 監督/ロバート・マリガン、撮影/ロバート・サーティーズ、音楽/ミッシェル・ルグラン、キャスト/ジェニファー・オニール、ゲイリー・グライムス    1971年アカデミー作曲賞受賞

メール便発送可・ジェニファー・オニール・ゲイリー・グライムズ・ジェリー・ハウザー・オリヴ...

MY評価:☆☆☆★★★ ジェニファー・オニール・ゲイリー・グライムズ・ジェリー・ハウザー・オリヴ…

青春グローイング・アップ

切なく、哀しく、やるせなく、
もうこれは、究極の青春の理想

ジェニファー・オニールが
美しすぎて、一生立ち直れない
本気 のトラウマになるのかも。

特にこの映画は観る時期を選ぶ
ので要注意。
もし、10代の前半に観ようものなら
完全にやられます!
MY評価 : ☆☆☆★★★


2)これは外せないでしょ!

  「ビッグ・ウェンズデー」

1979年公開 アメリカ 119min 原題/Big Wednesday 青春ドラマ  監督/ジョナサン・デミ、キャスト/ジャン=マイケル・ビンセント、ウィリアム・カット、ゲイリー・ビジー

幻の大波”ビッグウェンズデー”に挑むサーファーたちの青春を描くサーフィン映画の決定版!【...

幻の大波”ビッグウェンズデー”に挑むサーファーたちの青春を描くサーフィン映画の決定版!

喪失の物語こそ青春を彩る、最大の1ページなのかもしれない。

大切なものは、
失った悲しみの中にこそ
秘められているのだろうか。

ビッグウェーブに
立ち向かっていく
3人の男たちの後ろ姿は、

すこし眩し過ぎて、

心が痛い。

MY評価 : ☆☆☆☆


3)野心の疾走!

  「太陽がいっぱい」

1960年公開 仏/伊合作 118min 原題/Plein soleil サスペンスドラマ 監督/ルネ・クレマン、撮影/アンリ・ドカエ、音楽/ニーノ・ロータ、キャスト/アラン・ドロン、マリー・ラフォレ、モーリス・ロネ

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まだ、何物でもない

青春の光と影

心を貫く焦燥感が

欲望の疾走へと 駆り立てる。

「あぁ‥‥太陽がいっぱいだ!」

アラン・ドロンって

こんなにカッコ良かったっけ。

世界中が

彼に夢中になったのも ナットク。

MY評価 : ☆☆☆☆★

 


4)恐ーいのも必要でしょ!

  「JAWS/ジョーズ」

1975年公開 アメリカ 124min 原題/Jaws スリラー 監督/スティーブン・スピルバーグ、音楽/ジョン・ウィリアムス、キャスト/リチャード・ドレイファス、ロバート・ショウ、ロイ・シャイダー

夏は海!

海って怖い!

何故なら、ジョーズだから!

弱冠27才の青年スピルバーグのもとに

集結したきらめく才能集団

第一級の脚本、演出、音楽、撮影、

名優たちの演技アンサンブル。

恐怖を描いてこれほど
エンターテイメントとして

成功した映画はないだろう。

忘れてはならない夏の映画の一本。

MY評価 : ☆☆☆☆

 


5)〆はこれ!

  「スタンド・バイ・ミー」

1987年公開 アメリカ 84min 原題/Stand by me グローイング・アップ青春ドラマ 監督/ロブ・ライナー、主題歌/ベン・E・キング、原作/The body(死体)、キャスト/リヴァー・フェニックス、ウィル・ウィトン、キーファー・サザーランド

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子どもの頃、

夏休みは何かが起こる

予感で

ドキドキした。

冒険がすぐそこにあるカンジ!

二度と帰らぬ思い出は、

ベン・E・キングの歌声と共に

永遠の彼方に‥‥

MY評価 : ☆☆☆☆


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映画「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」女を香りで見分ける男

 

 香水で女性を見分けるなんて……

めっちゃ、かっこいい‥‥

そして

美女とタンゴを踊る

フェラーリを運転する

どれも、盲人の捨て身の覚悟の上のこと。

名シーンはキラ星の如く

アル・パチーノ渾身の一作。

それにしても、セント・オブ・ウーマン 

なんて粋な題名。

MY評価 : ☆☆☆☆
1993年公開   アメリカ   157min   
原題 Scento of a wooman(女性/夢の香り)
監督/マーティン・ブレスト、脚本/ボー・ゴールドマン
キャスト/アル・パチーノ、クリス・オドネル
1993年アカデミー主演男優賞受賞(作品・監督・脚色ノミネイト)
1993年ゴールデングローブ作品、主演男優、脚本賞受賞(助演男優ノミネイト)
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映画「ゾディアック」何かヤバイ物に取付かれてる!

もし、犯罪を無作為に偶然だけで行うことができたなら…

いくら犯罪を繰り返えそうとも、その犯人に、誰一人、たどり着くことはできない…

それこそ、偶然でもないかぎり…究極の完全犯罪となりうる。

犯人は、計画性を排除し、必然性の糸を全て裁ち切ることを意識しているのだろうか?

つまり、無作為の作為。

それとも、ただの気まぐれ、行きずり、なのだろうか?

瞬きする間の如く…完全犯罪が音もなく姿も見せず、通り過ぎていく。

「セブン」に続いてまたもやデヴィット・フィンチャーがやってくれた。

未解決事件の実録版映画。

全く救いを用意しない映画。

人間の絶望に取付かれているとしか思えない。

その精神は、いったいどんな闇に取付かれてるというのだろうか?

恐ろし過ぎて、知りたくもないが…

MY評価 : ☆☆☆★★★
2007年公開   アメリカ   158min   
原題/Zodiac(十二宮図/ギリシャ神話の星座から)
監督/デヴィット・フィンチャー
キャスト/ジェイク・ギレンホール、ロバート・ダウニー・Jr
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映画「崖っぷちの男」先読みさせないサスペンス!

ゼッタイ、先読みできないサスペンス!

張りめぐらされた伏線がラストに収束するスピード感が素晴らしい。

脚本の勝利というべき作品。

ポスターでわかっちゃうのは、主人公がヤバイ所に立っていること。

最初から最後までこんな感じのハラハラドキドキ。

高所恐怖症の人って、大丈夫なのかな?

もしかしたら、むしろ観た方がいいかもしれない。

もっとヒヤヒヤ、余計に楽しめる?

ストーリー展開の面白さがこの映画の醍醐味で、

各所に張りめぐらされた伏線が、

ラストに向けて一気に収束していくスピード感が醍醐味の映画だ!

MY評価 : ☆☆☆★★★
2012年公開   アメリカ   102min   
原題 MAN ON A LEDGE (飛び降り自殺者警察用語)
監督/アスガー・レス、脚本/パブロ・F・フェニベス
キャスト/サム・ワーシントン、エリザベス・バンクス、ジェイミー・ベル、エド・ハリス
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映画「イコライザー」デンゼルのダークサイドの眼の奥に‥‥

デンゼルのダークサイドがカッコいい

何度でも観たくなる映画

ラストシーンを見ると明らかにシリーズ化を意識しているのがわかる作りになっていた。これがヒットしたらだけど‥‥次作はクロエ・グレース・モレッツのその後が、事件の発端になる予感。

アメリカ版必殺仕掛け人

勧善懲悪。ご都合主義とか言われそうだが、そうは言っても、もし自分にあれほどの力があれば、同様にやってしまうと思うのはみんな一緒じゃないかな。だから、自分の代わりに悪を懲らしめるところに共感するんだよね。

監督は「トレーニング・デイ」と同じアントワーン・フークア。この作品でアカデミー主演男優賞を受賞したデンゼル・ワシントンの特にダークサイド部分のことを、よーく分かってる監督だ。

一口で説明できないデンゼルの魅力

デンゼル・ワシントンという俳優は、複雑な人間を演じるときにより魅力を発揮する。若い時には無かった魅力だ。

いい年の取り方をしていて、顔のしわや少し疲れた眼の奥にさまざまな感情を表現する。

ハリウッドで最もセクシーと言われた頃の面影は薄くなったが、今の方がはるかに俳優としての可能性を感じる。

MY評価 : ☆☆☆★★★
2014年公開  アメリカ  123min  原題 The Equalizer
監督/アントワーン・フークア
脚本/リチャード・ウェンク、撮影/マウロ・フィオーレ
キャスト/デンゼル・ワシントン、 クロエ・グレース・モレッツ
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映画「誰よりも狙われた男」最後に裏切ったもの勝ち!

 

極の後出しジャンケン

更に悪い方が勝つというスパイの話だ

どうしたって暗くなるし、哀しくなる。

最後に裏切ったもの勝ち!

後出しじゃんけんの状況にした方が勝つなんて…
SPY CATCHER

この映画、フィリップ・シーモア・ホフマンの独壇場だ。

彼の演技はいつも素晴らしくリアルで、なんだか彼の匂いとか、息や汗まで感じられる。

去年、薬物過剰摂取で亡くなり、この映画が遺作となってしまった。

役に乗り移るタイプの役者だけに、こういう役は辛いだろうな、と単純に思ってしまう。

月並みだけど、とにかく冥福を祈ろう。

でも、歳をとった彼が見たかったな。

どんなに凄いことになってしまうのか、想像もつかないほどの役者だったのだから

MY評価 : ☆☆☆★★★
2014年公開  英/米/独合作  122min  原題 A Most Wanted Man
監督/アントン・コルベイン、原作 ジョン・ル・カレ『誰よりも狙われた男』 、
脚本 アンドリュー・ボーヴェル
キャスト/ フィリップ・シーモア・ホフマン、 レイチェル・マクアダムス、
ウィレム・デフォー
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映画「マッドマックス 怒りのデス・ロード」みんな、狂った世界が見たいんだ!

 

1979年、マッドマックスから30数年を経て、再びジョージ・ミラーの世界が甦る

プロローグから一気に疾走する

ジョージ・ミラー帝国の造形は想像を超えていく。

Sexta/Viernes/Friday-POSER-Deus - Dios - God

混沌とした世紀末の表現は低予算の一作目から際立つが、それはエスカレートする一方だ。

ところどころで、自分の感性の枠を超えるシーンに出会った瞬間に観客の恍惚が訪れる。

しかし、派手になればなるほど観客はそれ以上を求める。

すれっからしの感性は、もっともっと、と要求する。

みんな、狂った世界が見たいんだ!

麻痺し始める感覚を救ったのは、人間たちの肉体の表現だった。

個々のドラマに寄り添う肉体の表現がこそが、観客の感情を喚起する。

ジョージ・ミラーのこの表現のこだわりこそ、観る者の心に正しく届くのである。

「マッド・マックス」ファンの期待に十分に応えた出来となった。

MY評価 : ☆☆☆☆
2015年公開   豪/米合作   120min   原題 Mad Max: Fury Road
監督/ジョージ・ミラー、撮影/ジョン・シール、音楽/ジャンキーXL     
キャスト/トム・ハーディー、シャーリーズ・セロン
第88回アカデミー賞受賞/ 衣装デザイン賞 、美術賞
 メイクアップ&ヘアスタイリング  、編集賞 音響編集賞 、録音賞
 ノミネート/撮影賞 、視覚効果賞  、監督賞  、作品賞 他多数
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映画「ゲッタウェイ スーパースネーク」ヒットする要因がひとつも思いつかない!

 

日本初公開。原題「GETAWAY」

となれば当然、サム・ペキンパー監督のスティーブ・マックィーンとアリ・マッグロウとの快作を思い出す。

あれはかなりエポックメイキングな作品だった。

それまでは、犯罪は割に合わないが鉄則だったが、逃げきってもいいんだと言い切ってしまった最初の映画だったように記憶している。

そのカッコ良さと爽快感はいまだに忘れられない。

この作品も同じ題名を堂々と付けたからにはとなるが、こっちはだいぶ趣きが違う。

同じ逃げるでも犯罪を犯していないので、その分悲壮感もない代わりに爽快感もさしてない。

つまり、まったく別物で、よくぞ同名にしたものだ。

勇気あるチャレンジというより無謀というべきか。

とはいえ、良い点もある。

主役を元レーサーにしてカーチェイスが91分間のほとんどを占めるのだが、

そのノンストップアクションのレベルは相当高い。

カメラアングルに防犯カメラ目線を加えてたところもイイ

様々なカメラアングルが実に自然に組み合わせているのだが、防犯カメラとは考えたもんだ。

それは観客の目線、視点、そして追跡する側の視点でもあるからだ。

たぶん普通に見ていたら気が付かないほど、うまく観客の心理の動きを誘導している。

また、俳優がいい。イーサン・ホーク。今回は「トレーニング・デイ」の頼りなげな警察官や、「恋人までのディスタンス」の恋愛青年とはだいぶ違う。頭はあんまり良くはないが、必死になってピンチに立ち向かっていく姿はいつ見てもいいもんだ。こういうエンターテイメントたっぷりの映画では、彼のシリアスな雰囲気がストーリーに信憑性を与えていて、観客も感情移入しやすい。

壊れない車で、スーパードライビングで、次々とピンチを乗り越えていけばいいのだ。

最後に数秒正体見せる黒幕のボスは、なんとジョン・ボイト!

さすが、短時間でもエンドロールは3番目!

最近はアンジェリーナ・ジョリーの親父さんでしか知られてないが、この頃の登場はいつでもどこでもラスボスです。

いい感じのワルになりました。

この映画は、WOWOWでの日本初公開。

日本での一般公開はさすがに無理だったようだ。

スターも地味だし、ヒットする要因がひとつも思いつかない。

だから、こういう映画をWOWOWでやってくれるとありがたいのです。

MY評価 : ☆☆☆★
2014年公開  アメリカ  90min  原題 Getaway
監督/コートニー・ソロモン  撮影/ヤロン・レヴィ
キャスト/イーサン・ホーク、セレーナ・ゴメス、ジョン・ボイト
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映画「スティーブン・キング ファミリー・シークレット」あなたならどうする?

後味の良いショッキングスリラー!

スティーブン・キング自身の脚色

原作「素晴らしき結婚生活」 STEPHEN KING’S A GOOD MARRIAGE

もう、題だけで怖いでしょ。

S・キングで、結婚で、素晴らしいとくれば、怖いこと請け合い。

監督ピーター・アスキンってだれ?でも、ヒロインのジョーン・アレンは知ってる。

何といっても、「ボーン・シリーズ」のCIA女性諜報員パメラ・ランディ。

さらに言えば、女性副大統領候補になって悪戦苦闘する「ザ・コンテンダー」。

これ、アカデミー主演女優ノミネイトだった。

もっといえば「フェイス・オフ」のトラボルタの奥さん役。

どの役もシリアスに印象的で、役どころに深みを形成させることでは一流だ。

今回はごく普通の奥さん役だが、なんとダンナが変態猟奇的連続殺人鬼だ!

で、それを知ったときからこの普通の奥さんは「変態猟奇的連続殺人鬼」の奥さんになってしまうのである。

おんなじベッドで、いつものように隣にいる!

たとえようもない恐怖!

アンタならどうする?! 

この映画の凄いところは、彼女の対応ぶりなのだが、慌てふためいたところから

いつもの日常をおくりだす過程の描写のうまさにある。

ふつうはヒロインが覚悟する感情の描写をきっちりとたっぷりと描くものだろうし、描きたくなるもの。

でも、そうはしない。

しらっと、日常に移行する。

観客は戸惑うが、興味をそそられついて行かされる。

彼女の本当の覚悟はラストに取っておくのだ。

そして、エンディングはもうひとつの仕掛けによってさらに深みを増す。

後味の良いスリラーのできあがりである。

WOWOW日本初公開作品。

MY評価 : ☆☆☆★★★
2014年製作  未公開/日本初公開WOWOW2015/6  アメリカ  102min  
原題  STEPHEN KING'S A GOOD MARRIAGE
 監督/ピーター・アスキン  原作・脚本/スティーブン・キング
キャスト/ジョーン・アレン、アンソニー・ラバリア