映画「ローマの教室で、我らの佳き日々」寡黙ながらも饒舌に


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視点がどこまでも暖かい

寡黙な佇まいながらも饒舌な映画


教育に対して若く情熱に溢れた高校の臨時教員。かつての希望も情熱も今は消え失せ死ぬことさえ身近になっている老教師。規律を重んじることでなんとか気持ちと学校経営を支えている中年の女性校長。それぞれに抱えるジレンマに悩みながらも生きていく姿を、暖かく見守る教育映画である。

映画の語り口は、決して性急に答えを出そうとはせずに、いたって自然に無理しないスタンスを守り抜く。

答えを出そうとしないところが、かえって心地良い。

目線が低くもなく、高くもなく、自然な高さなのもいい。

まるでドキュメンタリーのような趣きだ。

カメラはドラマを語り、そして見守る

映画は唐突に終わりを迎える。

そして、本当に何も解決されていないことにしばし呆気にとられるが、すぐに気づく。

これこそリアルな現実なのだと。

本当はとても多くを語っていたのだ。

実は脚本と演出が周到に練られ、ドラマなきドラマが見事に描かれていたことに思い至る。

3人の役者もしみじみ良くて、さりげない秀作という言い方が良く似合う。

MY評価 : ☆☆☆★★★
2014年公開   イタリア   101min
原題:Il rosso e il blu/原案:マルコ・ロドリ著「赤と青 ローマの教室でぼくらは」
監督・脚本/ジュゼッペ・ピッチョーニ
キャスト/マルゲリータ・ブイ、リッカルド・スカマルチョ、ロベルト・エルリツカ

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