金魚は自分の水槽の水を換えているのが人だとは知らない。それはまるで人間と同じだ。
と映画は言う。
人間だって所詮何もわかってないようなものだ、と言うことなのか。
人生では、知らないままでいることの方が良いこともある。
そのままそっとしておこう。
知る必要はないのである。
秘密は甘く危険で、時としてひどく残酷だから。
それが秘密で無くなった時、何もかもを失ってしまうこともある。
そして何も残らない。
すべては灰色の世界に溶け失せ、輝いていた想い出も無残な壁の染みとなるだけだ。
ウソのある人生の方が幸せだ とニーチェも言っていたらしいではないか。
秘密の香りを全篇に漂わせる恋のマジック
それも皮肉に彩られたユーモアで、見事に僕たちを秘密の恋のマジックに誘うのだ。
人生最大のマジックは「恋」なのだろうか。
人は誰でも恋に落ちるもの。
何故なら、僕たちは水槽の水を換える人を知らない金魚なのだから。
MY評価:☆☆☆★★★ 2014/2015年公開 米/英合作 97min 原題/Magic in the Moonlight 監督・脚本/ウディ・アレン、撮影/ダリウス・コンジ、編集/アリサ・レプセルター キャスト/コリン・ファース、エマ・ストーン