スリリングで刺激的な傑作
誰でもいい。誰かを尾行する興奮!
大学の哲学科の修士論文として教授のリリー・フランキーに勧められるままに尾行を始めてみた門脇麦ちゃん。哲学的尾行?らしい。
それじゃバレバレだろっていう幼い尾行はさて置くとして、自分と関係のない人を不特定的に任意に選んで尾行してしまうわけだが、「尾行する」という行為は見ているこちらの方もなんだかゾクゾクするような興奮と快感が伝わってくる。何故なら、人を尾行するということは、つまりこれは禁断の行いだからだ。言い換えれば、普通はやっちゃいけないこと、となる。
「尾行」という行為の特異性は、人の日常を覗く行為にある。日常には様々な秘密が潜んでいることが多いから、何かしら人に知られたくないことも見えてしまうことになる。やはり禁断の行いなのだ。
スリリングでエロい映画
門脇麦と菅田将暉のベッドシーンが無機質でセクシーさのかけらもないのは、意図的なのかもしれない。つまりこの映画のトーンがとってもセクシーでもっと言えば素晴らしくエロいからだ。セクシーで映画的なエロさを引き立てるためにも、セックスの快感との対比が必要だったのだろう。
ドキュメンタリータッチのようなカメラワークの演出も的を得て刺激的だ。スリリングでサスペンスフルな雰囲気を作ることに成功している。
この監督、ただ者じゃない。
MY評価 ☆☆☆★★★ 2016年公開 126min 監督/脚本 岸善幸 原作/小池真理子 キャスト/門脇麦、長谷川博己、リリー・フランキー、菅田将暉 第 14 回ウラジオストク国際映画祭 最優秀監督賞(Best Director) 最優秀女優賞(Best Actress)W受賞