映画「特捜部Q Pからのメッセージ」絶望の果ての希望とは?


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芳醇なワインは今やオリ(澱)が瓶の底に沈殿している

「特捜部Q檻の中の女」の感想で、芳醇なワインのような作品だと以前に書いた。

このQシリーズの1作目だ。2作目は「キジ殺し」で今回は3作目になり、作品世界も濃度を増し今では澱が瓶の底に沈殿しているかのようだ。

3作目の刑事カールは、1作と2作の捜査で疲れ果ててしまい、ポンコツになりかけている。助手のアサドが主導しカールが助手のようについていく。もともと心に深い傷を持ち神も仏も信じていないカール自身の心の闇が、今回のテーマに深く関わっていく。

今作のテーマは信仰心と絶望、または希望である

原作は北欧の権威ある文学賞「ガラスの鍵賞」を受賞した「Pからのメッセージ」ということで、3作目の今作はとりわけ絶望の闇が深い。カールの負った心の傷は彼の手を絶えず震わせるのだ。

ポンコツ刑事になり下がったとはいえ、元来の敏腕ぶりも発揮して犯人を追い詰めていくのだが、いかんせんポンコツなので簡単に犯人の手に落ちてしまうところは観客の興を削ぐ展開だが、そこ以外は非の打ち所が無い。

カールは相変わらず無神論者なのかもしれないが、映画の終わりの方で犠牲者を弔う賛美歌に嗚咽しながら歌うのだ。そして言ったのである。

「だが、それでいい」と。

そしてラストでカールが公園で遊んでいる子供達を見てアサドに言う。

「子供を見ながら、無知な奴らだと思っていた」

「夢なんか持って、何も分ってない」

「だが、それでいい」

映画はカールの顔をとらえて終わる。

絶望の闇の遥か向こうに灯った一筋の光を、彼は見たのかもしれない。

きっと、カールは希望へのかすかな手がかりを感じたに違いない。

そう思わずにいられない簡潔にして余韻の残る秀逸なシーンであった。

奥深い作品だ。

MY評価/☆☆☆★★★

2016/2017  デンマーク・ドイツ・スウェーデン・ノルウェー合作  112min

原題/Flaskepost fra P
監督/ハンス・ペテル・モランド 、原作/ユッシ・エーズラ・オールスン
脚本/ニコライ・アーセル

キャスト/ニコライ・リー・カース、ファレス・ファレス

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