映画「モーガン プロトタイプL-9」魅惑的なみずみずしい感性!

みずみずしい感性が横溢しているSF映画!

見所は、巧みに構築された映像表現にある。

将来、AIは感情を獲得することができるのだろうか?

人間のような感情を持つアンドロイドの誕生を目指す極秘プロジェクトが、あるアクシデントにみまわれるところからこの映画は始まる。

既に豊かな感情を持つ5才の少女モーガン(見た目は10代後半?)が、彼女の世話をしていた女性の眼を潰すという暴力行為を犯してしまった。モーガンはエラーだと言って必死に謝るのだが……。

この事故を調査する危機管理コンサルタントと称する女性のウェザースとモーガンの二人が主役となる。人間とアンドロイドと感情の有無についての物語に新鮮味は無い。ほとんどの人にとって、きっと何処かで観たり聞いたりしたことのあるテーマなのだろうが、実は見所はそこにはない。

見所は、全体のイメージから細部に至るまでの巧みに構築された映像表現にある。特に魅力的なのは、暴力行為やアクションシーンがアンドロイドの人間性というテーマに裏打ちされた演出のもとに、じつにリアリティー豊かに表現されているところだ。感情の有無という観点からみたアンドロイドと人間との対比は、期せずしてその残虐さは人間自身に返ってくるという皮肉さに思い至るところはおまけみたいのものだろう。

ふたりの主役の女優達がとても魅力的だ。この監督はリドリー・スコットの息子ルーク・スコットの処女作であるが、さすがリドリー・スコットの息子だけあると思ったり、やっぱり処女作だけあって彼の感性がみずみずしく横溢していると感じた。雰囲気のある映画と簡単に言ったりするが、実は細部に至るまで計算され尽くしている所などは職人芸でさえある。特に感心したのは細かな編集の妙だ。アクションシーンにそれは最大に発揮される。リズムよく細かく編集された映像は一切の説明が無い。俳優の微妙な表情の変化と動きのスピードなどから生まれるものを監督が信じていることがよく分かる。だから、わからない人にはわからないとなるのだろう。これはセンスの問題だ。これがルーク・スコットの映像センスであり個性である。映画のドラマツルギーとしての弱さを否定するつもりはないが、先に言ったとおり、見所は彼の感性が描きだした二人の女優や音楽も含めた映像にあり、それは魅惑的で、甘美ですらある。

秀逸なSF映画となった。

次回作にも期待したいところだが、この作品に魅力を感じる人たちはとてもマイナーであるらしく、公開に至らなかった事を考えると次回作を観ることは期待薄だろうな。この手の映画が評価されることがあるとすれば、ルーク・スコットが後年誰にでもわかりやすい傑作を撮った時に、処女作のこの作品が顧みられ再評価されるということだろうけど……。

MY評価 ☆☆☆☆

2016製作  アメリカ  92min  原題/Morgan

監督/ルーク・スコット
キャスト/ケイト・マーラ  アニヤ・テイラー=ジョイ

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