映画「サンドラの週末」しみじみ身につまされる秀作


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生活が崩壊するリアルな恐怖

この映画の中の生活環境では、失職イコール基本的な生活の崩壊に繋がることを意味していた。

他に探せばいいという話ではない。

もし自分がその立場になったなら…

次第に主人公サンドラの気持ちに感情移入していく。

彼女が泣いたり、気分が悪くなったり、死にたくなったりする感情がそのまま伝わってくるようで、こっちまで胸が苦しくなってくる。

映像に重なる効果音やバックグラウンドの音楽は皆無だ。あるのはカーラジオから流れてくる音楽だけの演出は、まるでドキュメンタリーを見ているような錯覚におそわれる。

綿密に計算されつくした脚本と演出は、単調になりかねないストーリーをサスペンスフルで緊張感に満ちた世界へと導く。

気持ちがじりじりしてくる。

同僚がクビになれば自分に少なからぬボーナスが入るという状況を強制する雇用側は、資本主義社会では特に悪者とも言えず、解雇される側は運が悪かったというしかない。しかし、16人の従業員の過半数がもしこの週末までにボーナスの権利を放棄し、サンドラを守る立場に立てば彼女の解雇はまぬがれる。

みんなギリギリの生活をしている中で、自分に入るはずのお金を放棄してまで他人の生活を守るということは、どういうことなのだろう。仕事があることと、無い事の決定的な違いの差をみんなよくわかっている。だからこそサンドラの状況が他人事でなくなるのだろう。

いったいここで何が試されているというのか?言ってみればどの選択をしても人それぞれの都合があるし悪いという事はない。期せずしてみんなが試させられたのは、自分がこれから先何を大切にしてどのように生きていくのか、ということであった。

全員が苦渋の選択を迫られる。観る側は登場するあらゆる人の立場に立つことになる。その違いに一々気持ちは揺れ動き当惑するのだ。最後にサンドラはやれることをやりきったことの充実感と自分の心の中の大切なものを守ることが出来たことの晴れやかさに、すがすがしく映画は終わる。

人にとって大切なものとはなんだろう?

時として人は重大な決断を迫られることがある。

どの道を選ぶのか。

選んだ理由がその人の価値を決めていく。

何を大切にしたのか。

選ぶとき何かを守り、何かを捨てなければならない時がある。

その時に何を守ったのか、何を捨てたのか。

人をつくっていく瞬間が、そこにある。

MY評価:☆☆☆☆

2014/2015公開   ベルギー/仏/伊 合作   95min   

原題/Deux jours, une nuit

製作・監督/ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ

キャスト/マリオン・コティヤール、ファブリツィオ・ロンジョーネ

アカデミー賞:主演女優賞ノミネート
 英国アカデミー賞:外国語映画賞ノミネート
 セザール賞:主演女優賞・外国語映画賞ノミネート
 ヨーロッパ映画賞:女優賞受賞、脚本賞・観客賞ノミネート
 放送映画批評家協会賞:主演女優賞・外国語映画賞ノミネート
 全米映画批評家協会賞:主演女優賞受賞
 ニューヨーク映画批評家協会賞:主演女優賞受賞
 ボストン映画批評家協会賞:主演女優賞・外国語映画賞受賞
 ベルギー・アカデミー賞:作品賞・監督賞・主演男優賞受賞
 シドニー映画祭グランプリ受賞

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