ゾクゾクするほどカッコ良過ぎる映画
主役は、マグナムが世界一似合うジーナ・ローランズ
パートナーはあの、ジョン・カサベテス。本作の監督、脚本でもある。
カサベテスとジーナは映画作りの戦友のような関係なのではないだろうか。
さすがに、彼女の魅力をよくわかってると思わせるシーンの連発だ。
彼がジーナをどれほどカッコ良く魅力的で素敵な女性なのかを一番よく知っていて、そこを如何に魅力的に映像に写し取るかに異常なまでの情熱を燃やす。
特に輝くシーンは、ジーナ・ローランズが拳銃を使う幾つかのシーンに凝縮しているといっていい。
ジーナは、いきなりマグナムをぶっ放す!
そのタイミングが素晴らしい。
躊躇なく撃つ。
躊躇なく相手を殺しにかかる。
そのタイミングの演出とジーナの演技が、リアルな世界を誕生させる。
今この瞬間にと「判断」して撃つ訳ではないところがいい。
考える間もなく、彼女が今まで生き残ってきた嗅覚が瞬時に反応しているだけ、と思わせるリアルさを演出している。
グロリアの生きてきた環境も、彼女の性格も、一気にすべてを見せてしまう演出と演技。
グロリア(ジーナ)は、マグナムが良く似合う。
タクシーの止め方、ドライバーとのやりとり、バーでのたたずまいとバーテンとの何気ない会話、ホテルマンや銀行マンとの態度等々すべてのシーンに意味があり、経験と動物的感から感じ取る危険を回避する反応と決断と行動は、いったいどれほどの修羅場をくぐり抜けてきたのだろうか、と思わせるのである。
グロリアの一挙手一投足が彼女のあらゆる面を映し出すのだ。
男のハードボイルドの秀作は数あるが、
女のそれはこの「グロリア」をおいて右に出る映画はないだろう。
それほど、ジーナ・ローランズの存在感が際立っている。
当たり前だ。何故なら鬼才ジョン・カサベテスが渾身の力でジーナ・ローランズというたぐい稀なミューズをミューズたらしめるために撮った、彼女のための彼女だけの映画なのだから。
MY評価 : ☆☆☆☆
1981年公開 アメリカ 123min 原題 Groria
監督/脚本/ジョン・カサベテス、音楽/ビル・コンティ
キャスト/ジーナ・ローランズ
1980年ヴェネチア国際映画祭 金獅子賞受賞